GIGAスクールなお遠く…端末あるのに待機中は自習 沖縄


この記事を書いた人 Avatar photo 玉城江梨子
学校や県教育委員会などが配布している新型コロナウイルスに関するのガイドラインなどの公文書

 コロナ禍に伴い、政府は小中学生にパソコンやタブレット端末を1人1台整備する「GIGAスクール構想」を前倒しして進めているが、学校現場の対応が追い付いていない。本島南部の小学校中学年に通う児童の保護者(43)は、校内で陽性者が発生し、4月の約2週間、子どもを自宅待機させ、学校を休ませた。オンライン授業を要望したが、学校側は端末の設定が間に合っていないとして、端末機器を借り受けることができず、自学自習となった。保護者は「共働き世帯の場合、勉強を教える相手がいない。今後、休校にせざるを得ない状況となったとき困る」と学習の遅れを不安視している。

 

 保護者によると、校内の教職員の感染を学校が把握してから数日後、保護者に文書で連絡があった。学級閉鎖は一部のみで、子どもの学級は対象外。「連絡が遅い」と感じた保護者は不安を覚え、校内の感染が落ち着くまで学校を休ませたという。

 県教育委員会は、新型コロナウイルス対策のガイドラインで、保護者から学校を休ませたいと相談があった場合、学校長の判断で出席停止の扱いにすると規定している。学校は児童生徒が休んでいる間、プリントなどの課題を出し、生徒の学習をサポートするとしている。

 学校にタブレット端末は配備されているが、学校側は設定が間に合っていないことと、貸し出し基準が策定されていないことを理由に、保護者が要望するオンライン授業は「できない」と回答。学校は児童に自習課題を出した。

 保護者は「個人の端末を使ってのオンライン授業も駄目だと言われた。学校を休校にしないのであれば、安心して通える環境を整えてほしい」と要望する。

 県教育庁義務教育課の担当者は「学校に端末が配備されても、コロナの対策で学校に業者が入れないなど端末の設定が追い付いていない。現状、プリントなどで対応するしかない」と説明した。

 新型コロナウイルスの感染拡大によるオンライン学習への対応が急務となり、国は2023年度までに整備完了予定だった小中学生にパソコンやタブレット端末を1人1台整備する「GIGAスクール構想」を前倒しし、20年度中の整備完了を目指した。文部科学省の調べによると、全国で97・6%の自治体が3月末までに整備が完了した。

  (吉原玖美子)