県高校総合体育大会の先行競技は22日、沖縄県内各地で行われた。陸上第1日では男子砲丸投げで照屋瑠亜(那覇西)が14メートル57で大会初優勝し、女子1500メートルで伊波澪(同)が4分58秒94で頂点に立った。男子400メートルでは平川慧(コザ)が大会記録まで0秒14に迫る48秒97で制した。サッカーは準決勝があり、男子は那覇と宜野湾、女子は美里とコザが23日の決勝に駒を進めた。テニスの団体戦では、男子は沖縄尚学、コザ、那覇西、首里が4強入りした。女子は沖縄尚学、那覇、普天間、コザが準決勝に進出した。陸上は初日、保護者など観客を入れたが、緊急事態宣言適用を受け、第2日の23日から無観客とする。
肉体強化実って自己新 照屋、周りどよめく14メートル57
投げる度に自己ベストを更新した那覇西2年の照屋瑠亜が栄冠をつかんだ。上位8人による4回目の試技。砲丸は14メートルラインを大きく越える。3回目の14メートル09からさらに46センチ上回る記録。競い合う選手たちからも「おー」と、どよめきが起こる会心の投てきだった。
昨年の県総体は11メートル87で4位だった。以降、この1年間で体重は約10キロ増加。ベンチプレスは75キロから105キロまで上げられるようになった。肉体強化の成果が徐々に現れ、14メートル台に乗せられる力が付いてきた。
記録を意識して「考えすぎた」と力を出せなかった1、2投目を反省し、切り替えた3投目。今度は何も考えず砲丸に力を伝えることだけに集中した。記録は自己ベスト。これで波に乗り、4投目で目標の14メートル50超えを達成。最後の一投も自己記録更新の14メートル57で締めくくった。
中学では野球の外野手で、最後の大会を終えて陸上に参加。「前からやってみたかった」という砲丸投げにすぐにのめり込んだ。優勝を狙った中学の大会で2位に終わった悔しさもあり、強豪の那覇西に進むことを決意した。競技歴こそ短いが、本格的な指導を受け著しい成長で県トップを独走する。県高新の17メートル70の更新を見据え「最終目標は全国一」ときっぱり。成長を誓い、突き進む覚悟だ。
(謝花史哲)
残り400 会心スパート 伊波、絆の鉢巻き力に成長
駅伝部の先輩から引き継がれた鉢巻きを身につけ「力をもらった」という那覇西2年の伊波澪。県大会では自身初となる優勝にゴールの瞬間、思わず両手を挙げてガッツポーズし、喜びをあらわにした。自己ベストも更新し「とてもうれしい」と充実感でいっぱいだった。
中盤から先頭集団を引っ張り続け、最後の400メートルでスパートを仕掛けた。「3年生や卒業した先輩からも励まされた」と言い、たすきをつなぐように、思いもつなぐ気持ちだった。きついのを忘れ「足が回る分、全力を出し切った」。一気に後続を引き離し、馬力のある走りで駆け抜けた。
中学ではテニス部だったが、3年の時に誘われて駅伝チームに参加。走力は「校内でも下位の方」だった。駅伝大会で記録を残せず、悔しさから本格的に中距離に打ち込むようになった。
しかし実力不足から、昨年の県総体は組で最下位に終わった。「めちゃくちゃ悔しかった」とひたすら走り込み、練習でも5分を切れるようになった。今回は公認記録で4分台を出し切り、エントリーする800メートル、3千メートルへの弾みになった様子。「残りの種目でも自己ベスト、そして駅伝大会に向けて頑張りたい」と目を輝かせた。
(謝花史哲)