沖縄県のコロナ資料、情報公開の対応に差 黒塗り部分、専門家会議では公表


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県がインフォームド・パブリック・プロジェクトに公表した新型コロナウイルス関連資料

 県が新型コロナウイルスの感染相関図に関する資料で個人情報が含まれていない一部のページを黒塗りで開示した問題を巡り、この資料が昨年8月開催の県の専門家会議では、資料として配布されていたことが分かった。同資料を公開請求した調査団体インフォームド・パブリック・プロジェクト(IPP)の調査で明らかになった。

 黒塗りのページには、県外から持ち込まれたウイルスの県内での広がり方を示唆する相関図が描かれており、この情報が水際対策や感染防止策にきちんと生かされるべきだったとの指摘が上がる。

 また、IPPが会議の配布資料を公開請求したところ、当該資料は一部ではなく、全ページ黒塗りで公開された。同じ資料にもかかわらず、非開示の範囲が異なり、県の判断に一貫性がないことを示している。

 ■会議は議事録なし

 問題の資料は県衛生環境研究所と厚生労働省クラスター対策班が作成したもので、昨年8月24日までに県内で確定したクラスター(感染者集団)の事例について分析している。IPPの公開請求に対して県が個人情報を理由に一部を黒塗りとした。後に個人情報が記されていないページも含まれていたことが判明。昨年7、8月の感染の広がりと、「観光業」「接待を伴う飲食店」との関連を示唆する相関図が描かれていた。専門家会議は非公開で逐語の議事録はなく箇条書きで内容をまとめた議事概要のみだ。会議がどのように解釈・分析した上で議論したのかは読み取れない。

 IPPの河村雅美代表は「専門家会議はこのデータを知っていたということだ。玉城デニー知事を含む県の対策本部会議にどのように報告されていたのかも追及の余地がある。水際対策について国を説得する材料にもなったのではないか」と疑問を呈する。公開情報は少ない一方「各委員が会議外で関連する発言をしている。専門家の説明責任の点から問題だ」と指摘する。

 ■「個人情報」が理由

 問題の資料について県は前回開示していた箇所も含めて全ページ黒塗りにした。今回も個人情報を理由にした。

 情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は「明らかに個人情報とは言えない箇所も個人情報を理由に黒塗りにしている。過剰な非公開だ。いったん出せていた情報が時をへて非公開になるというのは考えにくい。特に今回の場合はそうした性質の情報ではない」と指摘した。

 県のコロナ対応に批判が集中する中、県政与党からも透明性を高めるべきだとする声が上がる。与党幹部は「議論の過程を公表していないため、県は『何もしていない』と言われても反論できない。国からも言われっぱなしだ」と語った。 (明真南斗)