首里城火災の損害算定額は84億円 保険金は上限の70億円支払い 美術品修復へ


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 2019年の首里城火災に伴う損害保険金の支払を巡り、沖縄総合事務局と沖縄美ら島財団は28日、保険会社が算定した損害額が計84億4002万円だったと明らかにした。被害額の算定終了に伴い、損害保険金として保険契約上の上限額となる70億円を保険会社から受け取った。被害額の内訳は正殿、北殿など国所有部分が75億9340万円、美術工芸品など美ら島財団所有部分が8億4662万円だった。

再建に向けて動き出した首里城=2020年10月、那覇市の首里城公園(小型無人機で撮影)

 同局と同財団、県が28日に発表した。損害保険金70億円に加えて、臨時費用500万円も支払われた。支払いは24日付。

 保険金と臨時費用の計70億500万円のうち、沖縄総合事務局が63億232万円、沖縄美ら島財団が7億267万円を受け取った。沖縄総合事務局の受け取り分は国庫収入となり、財団の受け取り分は美術工芸品などの修復に充てられる。

 沖縄戦で焼失した首里城を再建した前回の復元事業では、正殿や南殿、北殿などを国が約73億円をかけて復元整備した。国は2026年の首里城正殿再建を目標に掲げている。正殿は本年度中に実施設計、22年度に発注を計画しており、再建にかかる費用は今後確定する。沖縄総合事務局の担当者は「必要額は国の責任で確保していきたい」と語る。

 首里城の損害保険は、沖縄美ら島財団があいおいニッセイ同和損害保険と契約していた。補償内容の一部として、今年2月に残存物片付け費用約3億8900万円が国に支払われていた。今後、修理付帯費用(上限5千万円)が支払われ、支払い完了となる。

 保険会社とは別に、那覇市消防局は今年3月までに、首里城火災の被害額を52億8576万円と算出していた。保険会社の算定額との違いは、算出法の違いによるものとみられる。

 首里城の再建には個人や企業、団体などからの寄付も寄せられている。28日までに県の「首里城火災復旧・復興支援寄付金」には52億6294万円、沖縄美ら島財団の首里城基金には2億5966万円が集まっている。

 県の寄付金は復旧用の木材・瓦などの費用、同財団の基金は美術工芸品などの復元などに用いられる予定。