基地周辺の土地利用規制の法案 衆院通過へ 内閣委可決 候補一覧は開示拒否


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 衆院内閣委員会は28日、自衛隊や米軍基地など安全保障上重要な施設周辺の土地利用を規制する法案を自民、公明、日本維新、国民民主各党の賛成多数で可決した。共産党は法案に反対し、立憲民主は審議が不十分だとしてこの日の採決自体に反対したが、自民の木原誠二委員長が職権で採決に踏み切った。一方、同日の審議では規制の対象区域の候補となる自衛隊施設の一覧提出を防衛省側が拒否し、反発が広がった。6月1日の本会議で可決され衆院を通過する見込み。与党は今国会中の成立を目指す。

 小此木八郎領土問題担当相は質疑で、日本が門戸を開いたことで外国資本が入り、この数十年で環境が変わったと指摘。「善意と悪意が入り交じった時に生じる不安を解消するため調査する」と述べ、法案の必要性を強調した。

 共産の赤嶺政賢氏は規制対象となる「機能阻害行為」として政府が例示した「機能を阻害する構造物」の具体例を求めた。防衛省は過去3年の間に航空法に基づく高さ制限を超える建物を除去した例はないと答弁した。赤嶺氏は「現行法で対応できており、新法は必要ない」と訴えた。

 立民の阿部知子氏は、土地の利用状況を調査する主体を明示するよう要求。政府側は、重要施設を所管する省庁に協力を求めると答弁した。

 法案は、重要施設の周囲約1キロや国境離島を「注視区域」に指定し、所有者の調査や、妨害行為への中止命令を可能にする。司令部機能を持つ基地周辺などは「特別注視区域」とし、一定面積以上の売買に利用目的の事前届け出を義務付ける。