那覇の激戦地を花咲く丘に 平和願いアジサイを植樹 おもろまち


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
おもろまち自治会おせっかい委員会の趣旨に賛同し、アジサイを植樹する参加者ら=5月16日、那覇市おもろまちの安里緑地

 【那覇】慶良間(きらま)チージ(シュガーローフ)と呼ばれ、沖縄戦の激戦地だった安里緑地一帯を花の咲き誇る丘にしようと、おもろまち自治会(樋口豊会長)が中心となって活動を始めた。この地で激しい戦闘のあった5月12日に合わせて毎年アジサイの花を増やし、10年後には「アジサイの丘」を目指す。訪れた人々が戦争の歴史に触れると同時にアジサイを鑑賞し、戦没者を慰めてもらえるよう、恒久平和への願いも込めて活動する意向だ。

 おもろまち自治会がこのほど立ち上げた「おせっかい委員会」の活動の一環。人と人とのつながりを紡ぎ出し、これまで以上に安全・安心、快適に暮らせるまちとすることが委員会発足の狙い。自治会会員に加え、趣旨に賛同する人なら誰でも参加でき、企画提案もできる。

 5月16日に開催された「アジサイ植樹祭」には、「おせっかい」をキーワードに協力し合う社会の実現を目指す一般社団法人おせっかい協会の高橋恵会長が東京から参加し、賛同者約20人と共に黙とうをささげ、アジサイを植樹した。

「アジサイの丘」のイメージ画、東亜紀さん作

 高橋さんは「辛抱強い愛情」という青色のアジサイの花言葉を紹介し「アジサイに水をやりに来ることで人と人がつながっていくと思う。おせっかいから日本を元気に」と話した。

 自治会会員でこの企画を発案した太田浩一さんは、「おもろまちに住むわれわれが歴史を後世に受け継ぎ、平和な暮らしを支えればみ霊の供養になり、歴史が受け継がれる。アジサイがみ霊を慰め、アジサイをきっかけに顔が見える関係が紡ぎ出せたらうれしい」と語った。

 同委員会は、人のつながりを紡ぎ出すイベントとして、牛乳パックランタンでおもろまちを彩る「おもろまち想火」を7月に予定している。これらの活動は県地域振興協会の助成を受けている。
 (中川廣江通信員)