沖縄尚学前副理事長の妻、夫の退職金求めて学校側を提訴


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 沖縄尚学高校・付属中学校を運営する学校法人「尚学学園」の副理事長=当時(62)=が、2020年7月に自ら命を絶ったことを受け、学園側が退職金の支払いをしていないとして、副理事長の妻が退職金約1980万円を求める訴訟を31日、那覇地裁に起こした。

 訴状などによると、副理事長は1991年に学園が学校法人化した際、理事であり、教職員として勤務した。死亡時は中学校の校長と高校の副校長を兼任し、常務理事と副理事長の立場にあった。死後、学園側は速やかに退職金と、役員が受け取ることができる退職慰労金を支給すべきにもかかわらず、どちらも支払っていないとしている。

 退職資金給付事業を行う「県私学教育振興会」は20年8月、副理事長の退職手当資金として約1980万円を学園に交付したが、学園側は遺族に支給せずに返金したという。

 遺族側は「話し合いでの解決を望み、調停手続きを進めていたが、必要な対応を取ってもらえず、提訴せざるを得なくなった。学園側の対応を、非常に残念に思う」と述べた。

 学園側代理人弁護士は、退職金は使用者が労働者に支払うものだとし「副理事長は経営者の立場にあり、従業員性に著しい疑義がある。法律上、退職金の支払い義務がない」と反論した。