県が1日発表した子ども調査(未就学児)で、2019年10月から始まった幼児教育・保育の無償化の効果を5歳児の保護者に聞いたところ、所得が低いほど恩恵を受けていないことが分かった。無償化を受けて「子育ての費用や教育費を充実することができた」と回答したのは、一般層50・3%だったのに対し、最も所得が低い低所得層Ⅰは30・0%だった。
幼保無償化は消費税率引き上げに伴う増収分を財源として、認可保育所や幼稚園、認定こども園に通う3~5歳の保育料を原則無料化した制度。住民税非課税世帯の0~2歳児も対象となる。
保育料は所得が高いほど高くなる仕組み。制度が始まった当初から、もともと保育料が低かった低所得層は恩恵が薄いと指摘されており、調査で裏付けられた。
「無償化の対象だが、特に影響はなかった」との回答は、一般層18・2%に対し、低所得層Ⅰは36・8%だった。「貯蓄が増えた」と回答したのは、一般層14・7%、低所得層Ⅰは3・0%だった。
一方、保育所の利用状況に関する質問では、「どこにも通っていない」と答えた1歳児の保護者は18・3%で、前回の17年調査より5ポイント低下した。県は、待機児童解消に取り組んだ施策の成果とみている。
ただ、「どこにも通っていない」の割合を所得別に見ると、一般層14・5%、低所得層Ⅰ25・1%と、所得が低いほど保育所等を利用できていないことも分かった。低所得層ほど利用したくてもできていない割合が高く、課題も残る。