【識者談話】沖縄振興計画、迫る期限切れ、遅い県の対応 宮田裕氏(沖大、沖国大特別研究員)


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 新たな振興計画の素案は、過去の慣習を忘れ、未来への視点を示すべきだ。10年後の沖縄はどう変わっているか、基本戦略を持って問題解決型でなければならない。

 玉城デニー知事は全国の米軍専用施設の面積に占める沖縄県の割合を現在の約70%から50%以下に整理縮小すると表明したが、素案にはない。ビジョンと戦略のダイナミズムに欠ける。

 沖縄振興特別措置法は来年3月末に期限切れとなる。河野太郎沖縄担当相は「具体的に申し上げる状態ではない」と語り、自民党沖縄振興調査会の小渕優子会長は「単純延長は厳しい」と突き放す。

 新たな沖振法策定で県の対応は遅いと言わざる得ない。新法は内閣府が原案を作り、各省と十分な調整の下、国会に提出して審議されるが、法案成立まで厳しい日程だ。

 沖振法が切れると振興計画策定の法的根拠を失う。コロナ禍の国難の時代に、政府の方向指示器は沖縄に向いていない。残されている時間は少ない。