【深掘り】米軍ヘリ津堅島不時着 夜間規則違反が常態化 連絡体制も機能せず


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畑に不時着した米海兵隊ヘリ=2日午後11時すぎ、うるま市の津堅島(読者提供)

 2日の米軍ヘリ津堅不時着事故を巡り、県は3日、金城賢知事公室長ら4人をうるま市津堅島の現場に派遣するなど対応に追われた。民家から約120メートルしかない場所への不時着は機体の安全性が問われるほか、夜間の騒音規制措置が守られていない運用の実態も改めて浮き彫りにした。だが、県としては米軍や沖縄防衛局から得られた情報が少なく、抗議などを含めた米軍や関係機関への申し入れは見送り、4日以降に改めて検討することとなった。県への連絡体制が十分に機能していない実態がある。

 米軍ヘリは2日午後10時45分ごろ、津堅島に着陸した。県には沖縄防衛局から3日未明に連絡が入った。玉城デニー知事から謝花喜一郎副知事に連絡が入り、謝花副知事が金城知事公室長に対応を指示したという。

 午前8時半ごろに登庁した謝花副知事は「決してあってはならない。県として厳正に対応したいと思う」と語り、抗議を含めて対応を検討する方針を示した。

 県議会は別件で米軍基地関係特別委員会が開かれる予定だったが、「執行部を拘束して事故の対応が遅れるのは本意ではない」(照屋守之委員長)として約10分で終了。金城公室長は他の職員とともに津堅島に急行した。軍特委の所属議員たちも現場を視察した。

 県は朝一番の3日午前8時に、沖縄防衛局を通じて米軍に詳細を求めていた。

 だが、防衛局から県基地対策課にメールで回答があったのは、午後3時54分になってからだった。内容は午前9時ごろに報道機関が米軍から直接得ていた程度のものだった。

 この日は新型コロナウイルス感染症の対策本部会議もあり、防衛局から得た情報を三役に報告するにとどまった。米軍にも問い合わせていたが、回答はなかった。

 3日夜の会見で、玉城知事は「通報連絡の遅れの見直しや事故原因の究明、再発防止措置など、安全管理の徹底を要請したい」と米軍の対応にくぎを刺した。

 ただ、同型機の飛行停止を求めないのかを問う質問には、「具体的な米軍基地の負担軽減を総合的に求めていきたい」と述べるにとどまった。(塚崎昇平)