生徒8人が新型コロナウイルスに感染した県立学校が2日、本紙の取材に応じ「感染対策は徹底していても、誰もが感染する恐れがあることが分かった」と振り返った。各学級に新たに消毒係を置くなど、感染対策を強化しているという。校長は「家族の体調に関する情報共有も含め、学校と家庭が連携を強めることが大切だ」と語った。
同校は感染対策として県などの指針に沿い、マスク着用の徹底の他(1)休み時間ごとに手指消毒(2)昼食は向かい合わず自席で(3)こまめな換気―などを徹底してきたという。
ところが、5月12日に生徒1人に微熱の症状が出て陽性が判明。経路は不明で、近くで食事した生徒や同じ部活動に所属する生徒など計53人が検査を受けた。同じ部活動に所属する生徒ら4人への感染が明らかになった。
同校によると、熱中症の危険もあるため部活の練習中はマスクを外す生徒も多いが、帰宅途中にマスクを外して会話をした生徒はいない。練習を見学していた生徒も感染し、同校教頭は「どうやって感染したかよく分からない」という。
部活生らとは接触のない生徒の感染も寮で確認された。同部屋の計3人が寮で感染していた。マスクや手指の消毒などはしていた。詳しい感染状況は不明のままだが、ドアノブなど同じところに触れていた可能性もあるという。
校長は「教頭が中心になって各教室や寮で感染対策の徹底を呼び掛けていた。部活の大会や試験を控えていたため、教員も生徒も皆気を付けていた」と振り返った。その上で「学びの環境を守ることは大切だが、感染を広げないことが最優先だと判断した。学年閉鎖を県教育委員会に相談し、迅速に対応できたため、それ以上の感染は広がらなかった」と語った。
県内では連日200人を超す新規感染者数が出ており、学校でのクラスターも後を絶たない。同校の校長は「誰もが気を付けているはずなのに、知らぬ間にかかってしまうのがコロナだ。生徒は家庭と学校で過ごす時間が長いので、保護者との情報共有が感染対策と同様に大切だ」と話した。
(松堂秀樹)