休校で給食なし…牛乳がピンチ?200トン余剰か 生産者、加工用に出荷検討


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 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、県内の多くの小中学校が臨時休校に入る中で、学校給食用の牛乳に余剰が出る事態が想定されている。県酪農農業協同組合は生産量の約50%を給食向けに供給しており、現時点の試算で、緊急事態宣言期間の20日までに約200トンの余剰が出る見通しとなっている。余剰乳を、価格の安い加工製品用に出荷する対策を検討しており、生産者側は差額分などの補塡(ほてん)を県に求めている。県独自の休校要請に加え、大型商業施設の週末休業も売り上げ減に追い打ちをかけかねないと、関係者は危機感を募らせている。

 県に差額補塡要望

 県が県立学校の休校措置に準じて各市町村に同等の措置を検討するよう求めたことを受け、県酪農農業協同組合は4日、農家や乳飲料メーカー、県学校給食会などの職員を集め緊急対策会議を開催。給食用牛乳を廃棄しないための方策を話し合った。県内には生乳タンクが足りず余剰分を保管する容量に限りがあるため同組合は今週中に約50トンを県外に出荷し、脱脂粉乳やバターなどの加工乳製品の原料に回すことを決めた。

 各市町村によって休校措置や期間が異なることから余剰量は状況に応じて変動する見込みとなっており、関係者は臨機応変の対応を迫られているという。

 新型コロナを巡っては、昨年も政府要請により全国で一斉休校措置が取られた。その際、農林水産省は生産者向けの需給緩和対策として、余剰乳を加工乳製品に変更した場合の価格差や、加工製品に仕向けるための生乳の広域輸送費などを支援した。沖縄県も余剰分の差額を一部補塡した。

 だが、今回の休校要請は県独自の措置のため、政府からの支援は不透明だ。このため生産者の間に、給食用牛乳の供給停止に伴う経済的支援の有無について懸念が広がっている。

 県酪農農業協同組合は7日、県内で製造する加工乳や製品に含まれる生乳の配合率増加や、加工乳用に生乳を県外に出荷した場合の差額を補塡するよう、県議会に陳情書を提出した。

 同組合の馬場祐生組織統括官は「休校による打撃も大きいが、大規模商業施設の週末休業措置となれば、入居するスーパーなどの売り上げにも影響が出るはずだ」と頭を抱える。その上で「県独自の判断による休校措置のため、県にはしっかり補塡してもらいたい」と配慮を求めた。

 県畜産課の担当者は、現時点ではまだ予算の検討段階ではないが、「まずは組合の協力を得ながら余剰乳の発生量や休校の影響把握に努めたい」と述べた。

(当銘千絵)