「ストロング系」廃止で売り上げ伸びた オリオン早瀬社長に聞くコロナ禍戦略


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「ザ・ドラフトなどの付加価値をさらに高めていきたい」と話すオリオンビールの早瀬京鋳社長=豊見城市のオリオンビール本社

 県内企業とコラボした缶酎ハイのWATTA(ワッタ)や、低アルコール飲料の新分野に投入したDOSEE(ドゥーシー)など、積極的な商品展開を仕掛けるオリオンビール。早瀬京鋳社長に、飲料メーカーとしてコロナ禍の営業戦略や今後の方針などを聞いた。

Q:新型コロナウイルスの影響は。

 「決算発表前なので詳細な数字は言えないが、酒類事業とホテル事業に大きな影響が出ている。家飲みの需要はスーパーを中心に堅調だが、料飲店向けはどうしても緊急事態宣言などの影響を受ける。ただ、コロナ禍で業績が厳しいのは間違いないが、それでも光の見えた1年だった」

 「国やマーケットごとに販売チャンネルなどを丁寧に見直したことで海外向け販路が拡大した。昨年サイトをリニューアルしたEC(電子商取引)もかなり伸びている。ワッタなどRTD(缶酎ハイなど低アルコール飲料)も県外で注目を浴びている。この三つは次の成長への希望になる」

Q:今後の方針は。

 「ビールをさらに伸ばしていくことが第一だ。県産シークヮーサーを使ったドラフトなど、プレミアムな商品を開発している。ドラフトや75BEERの付加価値をより高め、確固たるブランドにしたい」

Q:アルコール度2%のハードセルツァーを発売した狙いは。

 「オリオンは、主要ビールメーカーの中で唯一高アルコール商品を廃止した。酔わずに楽しみたいというニーズは予想以上にある。実際に、ワッタの売り上げの4割を占めていた高アルコールを廃止した後に、ワッタ全体の売れ行きは伸びた」

Q:新商品を相次いで打ち出している。

 「現場からアイデアが上がってきて、ボトムアップで商品開発につながっている。オリオンは小さいメーカーで、大手に比べて小回りが利くため、業界初の取り組みなどにどんどんGOサインを出している。新しいことをやり続ければ、必ずヒットは生まれる」

Q:RIZAPグループと開発したFITTER(フィッター)は販売を中止した。

 「当初は屋外でのイベントと絡めたプロモーションを考えていたが、コロナで軒並み中止になってしまったことが響いた。ただ、実験としての意味はあった。健康的なRTDという市場はある」

Q:2年連続で宮古、石垣のビアフェストを中止した。収束後は再開するか。

 「中止は苦渋の選択だった。開催はわれわれだけで決められないが、ビアフェストが沖縄の夏の風物詩ということは理解している。収束すれば前向きに考えたい」
 (沖田有吾)

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