泡盛文化広めて…ユネスコ遺産申請方針、業界に広がる期待


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 政府が、泡盛の国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産登録を目指す方針を明記したことについて、県内の泡盛関係者からは期待の声が上がった。

 世界遺産に登録されれば、日本酒や焼酎と並ぶ「国酒」として認知度の向上が期待される。県酒造組合の佐久本学会長は「テキーラやウイスキー、ジンなど世界的に有名な蒸留酒に並び、日本にも歴史のある蒸留酒があると知られる機会になる。泡盛を多くの人に知ってもらい機運を高める活動をしていく」と話した。

 県内で消費される泡盛は、復帰以降35%の酒税軽減措置を受けている。出荷量の8割を県内消費が占めるため、業界にとって恩恵は大きかった。一方で、近年では措置の必要性を疑問視する意見も現れている。佐久本会長は「県外や海外出荷の割合を高めれば、自立ができる」と話した。

 泡盛マイスター協会の守田結子会長は「奥深い味わいと文化性に加え、多様な楽しみ方も魅力だ。泡盛は無形文化遺産にふさわしい沖縄の文化、伝統だ」と断言する。アルコール度数も16度~43度と幅広く、水割りやロック、カクテルにするなど、度数を使い分ける面白さもあるという。

 同じ蒸留酒で、メキシコの小さな町で生まれたテキーラが「マルガリータ」というカクテルを通して世界中で売れた例を挙げ、「泡盛の可能性も無限大。認知度が上がり流通網が整えば、海外でも広く受け入れられるはずだ」と期待を寄せた。

 県卸売酒販組合の喜屋武善範会長は「素晴らしいことだ。政府が動けば、登録まで早く進むと思う」と話した。登録によって世界的な認知度が高まることで、国内でも再評価されて消費が拡大すると期待をかける。「せっかく沖縄に来たから泡盛を飲んでみようと考える人も多く出て来るだろう。お土産の需要も高まると思う」と話した。