【記者解説】コロナ対策で打撃、沖縄県の「貯金」97%減の影響とは


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沖縄県庁

 新型コロナウイルスの感染拡大は県の台所事情にも打撃を与え「貯金」がほぼ底をつきかけている。現状で県のコロナ対策予算は、財政調整基金に本年度当初予算の予備費を加えても約15億円しか余裕はない。県内感染者数の高止まりは続き、6月20日が期限の国の「緊急事態宣言」が延長される可能性もある。県財政の逼迫(ひっぱく)が今後の感染症関連費用の捻出に影響を及ぼしかねない状況だ。

 観光が基幹産業の沖縄は感染症による人流の減少を受け、さまざまな産業の企業体力が減退している。経済活動の停滞に伴って、県税収入も激減し、21年度当初予算に計上された税収は、20年度当初比で13・6%(189億円)の減収となった。県によると、落ち込み幅は全国最悪で、県は減収分の穴埋めのため県債(借金)656億円を発行して21年度予算を編成せざるを得なかった。

 全国的にもコロナ対策として財政調整期金を取り崩す都道府県は多い。広島県は100億円以上あった同基金が21年度末には0になる見込みとなっている。ただ、沖縄は他地域よりも、人流減少が経済に大きな打撃を与えており、感染症の影響が長引くほど、県財政の縮小が続く懸念もある。

 玉城デニー知事は全国知事会を通して、再三、地方創生臨時交付金の地方単独分の追加配分を政府に求めてきた。県の緻密な財政繰りとともに、地方の厳しい財政事情に応じた国の支援が求められる。(梅田正覚)