思想調査「排除されず」 政府、米軍への情報提供に含み 土地規制法案


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 【東京】自衛隊や米軍基地など安全保障上重要な施設周辺の土地利用を規制する法案に関し、参院内閣、外交防衛の両委員会による連合審査が10日、行われた。内閣官房は法案に基づく調査項目として個人の思想信条を調べることも、条文上「排除されていない」との認識を示した。実際に土地利用と関係のない事項を調べることは想定してないとして理解を求めたが、法改正を経ずとも調査事項が広がる懸念が強まった。

 政府は、8日の審議で、土地の利用情報収集に関連し公安調査庁などの情報機関が協力することも「条文上排除されていない」との認識を示していた。

 法案を巡っては基地周辺住民の監視につながる恐れが指摘されていた。条文上の調査権限のあいまいさが浮き彫りになっている。

 立憲民主党の小西洋之氏は「土地等の利用状況を確認するためであれば、何だって調査できることになる」と法案の立て付けを問題視し、廃案を求めた。

 一方、防衛省は収集した情報を米軍に提供するのかを問われ「(土地所有者らに関する)情報の具体的な扱いは内閣官房で検討中」と述べ、提供に含みを持たせた。

 伊波洋一氏(沖縄の風)は基地周辺で暮らす住民を「スパイや危険人物のように見なし、調査対象として負担を求めるのはおかしい」と問題視した。小此木八郎領土問題担当相は、実施される措置は「(施設の)機能阻害行為を防止するため、必要最小限度となるよう適切に運用する」と理解を求めた。

 与野党は参考人質疑を14日に行うことを決めた。与党は16日の会期末に向け法案成立を図りたい考え。だが、野党が内閣不信任決議の提出を検討していることもあり、審議日程の先行きは見通せていない。