うるまPFOS流出で地位協定補足協定2度目の適用 米軍の制約多く依然課題も


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 米陸軍貯油施設(うるま市)からの消火用水流出を巡って12日に日本側関係者が基地内で受けた説明は、2020年に米軍普天間飛行場(宜野湾市)から大量の泡消火剤が漏出した際の調査に続く、2例目の環境補足協定に基づく立ち入りとなった。立ち入りを要請した翌日に実現に至ったことについて、政府関係者は「前回の経験が生かされた」と強調するが、調査には米軍の制限が多いなど実効性に課題もある。

 環境補足協定は2015年に日米間で合意した。(1)環境に影響を及ぼす事故(漏出)が現に発生した場合(2)施設・区域の返還に関連する調査―の際に、米軍施設・区域への日本側の立ち入り手続きを定めている。ただし、米軍の運用を妨げないなどと米側が判断した場合に限って、立ち入りやサンプル採取による調査は認められる。

 同協定に基づく初の立ち入りとなった、昨年4月の普天間飛行場からの泡消火剤漏出事故は、県や宜野湾市が立ち入れたのは事故発生から11日後で、当初は土壌の採取も認められなかった。県などによる水や土の採取は認められたものの、採取場所は米軍が指定した地点に限られた。

 今回は日本の外務省が11日に立ち入りを要請し、翌日に実現した。政府関係者は「前回は調査を申し入れる事案も研究しながらだった。本国と調整していた米側も、現場で判断していた」と語る。

 一方、北谷浄水場の取水源となっている河川から有機フッ素化合物が検出され、県企業局は汚染源の特定のために米軍嘉手納基地への立ち入り調査を繰り返し求めているが実現していない。環境補足協定は漏出が「現に発生した場合」としており、汚染原因特定のための調査については依然として大きな壁がある。