米ヘイト法成立 アジア系初女性上院議員ヒロノ氏が尽力


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 バイデン大統領が5月20日、人種的偏見などに基づくヘイトクライム(憎悪犯罪)への対応強化を定めた法案に署名して同法が成立したと、米メディアが伝えた。署名式典にはバイデン大統領やハリス副大統領、民主党の重鎮のほか、アジア系の連邦上院、下院議員8人も出席したという。

 ヘイトクライム対策法では、憎悪犯罪に関する州や自治体のホットライン設置などを支援するとともに、司法省に担当官を配置し、情報収集を強化することを盛り込んだ。アジア系住民への偏見是正に向けた啓発キャンペーンにも取り組む。

 同法成立に真剣に取り組んだのは、日本生まれのメイジー・ヒロノ氏(日本名・広野慶子)。日系アメリカ人で、アメリカ史上初のアジア系女性上院議員となった。夫は弁護士のレイトン・キム・オオシマ氏。ヒロノ氏は1947年に福島県で生まれた。酒を飲んで賭博を繰り返していた夫から逃れるように、母親が55年に3人の子供を連れ、ハワイに移住した。

 8歳からハワイのホノルルで育ったが、家庭は貧しかったという。新聞配達などで家計を助け、59年にアメリカ国籍を取得した。

 ハワイ大学マノア校で心理学を学び70年に卒業、弁護士資格を取得した。ワシントンDCのジョージタウン大学ローセンター(法科大学院)を78年に卒業、ハワイ州の下院議員、州副知事を経て連邦下院議員になった。2013年にハワイ州選出の上院議員となって活躍している。

(当銘貞夫ロサンゼルス通信員)