石垣の豪腕は中学、高校時代から別格だった。
平良海馬は中学で130キロ超の直球を投げ、八重山ポニーズではエースを背負った。八重山商工OB会の野球教室で、大嶺祐太投手(ロッテ)から直接指導を受けた際には「腕のしなりがいい。教えるところがない」と太鼓判を押され、プロへの夢は膨らんだ。
2016年選手権沖縄大会。同大会で初優勝した嘉手納との準々決勝で9回から登板。被安打2の好投を見せたが打線がつながらず、延長11回の末、1-2で惜敗。そこからトレーニングへの意識は変わった。
「すごい選手になってプロでプレーしたい」
フォーム改善やジムに通い徹底して体をいじめ抜いた。効果はすぐに現れる。高校2年春の県大会で自己記録を5キロ更新する152キロを記録すると、夏の大会で常時140キロ台を出し、プロのスカウト陣をうならせた。
「持ち味のストレートを生かしたピッチングで10年以上活躍できる選手になり、石垣島で関わってくれた先生たちが自慢できる選手になりたい」。17年のドラフト会議で西武から指名後、口にした言葉を平良は有言実行する。
プロ1年目の18年イースタン・リーグで10試合に登板し実績を積むと、19年に1軍に昇格。7月のオリックス戦で9回に初登板し、1イニングを三者凡退の無失点で堂々のデビューを飾った。26試合で中継ぎ登板し、2勝1敗6ホールド。変化球の精度を磨き、豪腕はすごみを増した。地元・石垣のみならず、球界を代表する至宝へと進化を続ける。
たいら・かいま 右投げ左打ち。1999年11月15日生まれ、石垣市出身。173センチ、100キロ、背番号61。真喜良小―石垣中―八重山商工出。高2の春の県大会で最速152キロをマークし、17年のドラフト会議で西武から4位指名を受け翌年入団。19年に26試合に登板し頭角を現すと、20年には日本選手6人目の160キロをマークするなど54試合に登板。昨季、県勢初の新人王を受賞。