土地規制法案、賛成派も「監視」に懸念 与党は採決に前のめり


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国会議事堂

 土地規制法案の参議院審査は、16日の国会会期末を前にヤマ場を迎えている。だが、罰則を伴うにもかかわらず問題となる行為や対象区域は、法成立後に審議会での議論を経て決めるとして明らかになっていない。調査手法や機関についての疑問も浮上し、野党から不安視する声が強まるが、与党は15日の採決に前のめりとなっている。

 「余りにも中身がスカスカ。全て政令、基本方針、審議会に丸投げされている」。10日の参院内閣委員会で、立民の杉尾秀哉氏は疑問視した。

 同日の委員会で内閣官房は、法案に基づく調査項目として、個人の思想信条を調べることも、条文上「排除されていない」との認識を明らかにした。これまでは思想を調べることを否定していたが、条文上は行えるとの認識を示した形だ。

 土地の利用情報の収集を巡っては、公安調査庁などの情報機関が協力することも「条文上、排除されていない」との認識を示している。実際には情報機関が保有する情報を活用したり、情報収集を依頼したりすることは考えていないとして政府は理解を求めたが、運用を権力の“良心”に委ねる危うさが浮かび上がる。

 こうした法案の立て付けへの懸念は強まっている。衆院審査で賛成に回った国民民主党の矢田稚子氏は10日、「過度な監視が行われないのかという懸念が強くある」と述べた。

 14日に参院内閣委員会で行われた参考人質疑でも焦点となり、与党が推薦した吉原祥子氏が「条文を読んだだけでは、どのようにでも解釈可能になってしまうのは本当にあってはならない」と述べ、議論を継続する必要性に言及した。(知念征尚)