新型コロナ感染症の拡大に伴う緊急事態宣言の延長について、県内の経済関係者からは「やむを得ない」との認識が多く見られた。7月からの観光シーズンを目前に控え、コロナ沈静化で経済好転につながるよう、ワクチン接種を広く推進するよう県に求める声も上がった。
那覇市内のホテル経営者は、観光最盛期の7、8月の予約状況について「客室稼働率が15~20%程度にとどまる」と話す。宣言延長は「致し方ない」と理解を示すが、「夏だけは落としたくない」と話し、県内でワクチン接種率を高める必要性を強調した。
修学旅行向けの文化体験を提供する事業所も「宣言の延長をするならば、厳しく感染を押さえ込まないといけない」と指摘し、早期のワクチン接種を進める必要を訴えた。
沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)によると、事業者には「職場接種をやりたい」という声が強いが、医師や経費の確保が課題になっているという。15日の経済対策関係団体会議にオンライン参加したOCVBの下地芳郎会長は「踏み込んだ対策をお願いしたい」と述べ、県が設置するワクチンの大規模接種会場を、中小規模の事業者でも利用できる仕組みづくりを求めた。
県の要請で、時短営業や休業を余儀なくされている飲食業関連の団体にも、コロナ沈静化に向け、緊急事態宣言の延長は避けられないとの認識がある。
県社交飲食業生活衛生同業組合の下地秀光理事長は、感染が沈静化しない現状に「宣言延長はやむを得ないが、もうこれで最後にしてほしい」と悲痛な声を上げる。「いつまでこの状況が続くのか。当たり前の日常に一刻も早く戻りたい」と訴えた。
一方、県飲食業生活衛生同業組合の鈴木洋一理事長は経済対策関係団体会議で、マスク飲食を徹底する店舗では、酒類提供を緩和するよう求めた。感染対策措置の必要性は認識しながらも、組合員の切実な声を代弁した。
ただ、酒類提供の制限緩和について、県から前向きな回答は得られなかった。鈴木理事長は「『もう限界だ』という声が寄せられている。このままでは、21日以降に時短要請に応じない店が出てきてしまう」と危機感をあらわにした。
県商工会連合会の米須義明会長は「新規感染者数が高止まりしている状況では宣言延長はしかたない」と理解を示した上で、「常々申し上げているが、時短や休業要請と補償はセットで考えなければならない」と強調した。