「いつまでこの状態が続くのか」酒販店、倒産に懸念も 緊急事態、続く我慢


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新型コロナウイルス感染拡大前と比べて倉庫のビール樽の量も減ったと説明する金城洋酒店の金城廣店長=16日、那覇市松山

 県は16日、20日までを期限としていた新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言の2週間延長を国に要請する方針を決めた。酒やカラオケを提供する店への休業要請も続く見込みだ。酒卸売業や酒メーカーなど、飲食店に関連する産業への影響は大きい一方、行政の協力金などの支援は乏しい。酒販店からは「倒産に追い込まれる『町の酒屋』も出かねない」と悲痛の声が上がる。 

 酒卸売業の金城洋酒店(那覇市)は売り上げの9割が業務用販売のため、飲食店の休業や営業時間短縮の影響をもろに受ける。メーカーへの発注量はコロナ前の8割減に落ち込んだ。緊急事態宣言延長の方針を受け、金城廣店長は「20日まで我慢していたけどね。うちは協力金がないからよ」と肩を落とす。

 酒販店は休業要請の対象ではなく、売り上げが激減する中でも、営業を続けざるを得ない状態だ。得意先からの一定数注文や一般客の来店があるため、店を休むわけにもいかない。金城店長は「飲食店に関連する業種のことも考えてほしい」と訴える。

 県卸売酒販売組合業務用卸売流通対策委員会の委員長で、高江洲酒販(宜野湾市)代表の高江洲義成氏は「酒販業界全体の売り上げは、そこまで深刻ではないと国や県に思われている」と話す。卸先が飲食店中心の業者と、量販店中心の業者があり「形態によって売り上げは二極化している」と断言する。

 飲食店への休業や時短要請がこのまま続けば、「地域の飲食店に卸す『町の酒屋』も経営が立ち行かなくなり、倒産に追い込まれる店舗も出かねない」と窮状を訴える。

 自身の酒店も昨年4月以降、月の売り上げが8割減となったが、従業員を守るため資金を切り崩し、しのいでいる。高江洲氏は「いつまでこの状態が続くのか不安しかない」と吐露し、国や県には酒類製造業者や酒類卸売業者への支援金の増額を求めた。
 (当銘千絵、中村優希)