県警に「薬物」講演依頼が増加 少年摘発続き、学校が啓発


この記事を書いた人 Avatar photo 上里 あやめ
スクリーンに映し出された講師の話に耳を傾ける中部商業高校の2年3組の生徒ら=5月26日、同校

 今年に入り、高校生を含む未成年の薬物事犯の摘発が相次いでいる。2021年1~4月期は前年同期から倍増し、16人だった。学校から県警へ寄せられる講演依頼も「薬物」をテーマにした内容が多くなった。県警関係者は「SNS(会員制交流サイト)を通じて売買されており、どれだけ蔓延(まんえん)しているのか把握できていない。非常に危うい状況」と危機感を募らせる。県警少年課少年サポートセンターの安全学習支援隊が、講演で啓発を図っている。

 県警少年課によると、今年の教育現場から寄せられる講演依頼のテーマは「薬物」と「サイバー」で9割以上を占める。1~4月に44校で講演。依頼の内訳は薬物が15件(前年同月比9件増)、会員制交流サイト(SNS)などのサイバー犯罪が27件(同21件増)、少年犯罪が2件(同8件減)。

 少年課は「サイバーにはSNSのいじめ問題なども含む」とした上で「薬物とSNSの関連は深く、昨年比で二つの依頼が多くなっている」と話す。注意喚起のため、講演会を前倒しする学校もあった。

 中部商業高校は7月に予定していた薬物をテーマにした講演を5月26日に実施。少年サポートセンターの宮城栄一郎さん(46)が講師を務めた。新型コロナウイルス感染対策のため、視聴覚室でパソコンに向かい、リモートで実施。生徒に「ネット上に『大麻はたばこより安全』と書かれていることがあるが、本当にそうなのか」と問い掛けた。

 大麻1本にはたばこ20本分の発がん性物質があり、依存性がアルコールより20倍あることを説明し「身体、精神的にもたばこより安全、ということにはならない」と語った。

 講演を聞き3年生の喜納暖大さん(18)は「薬物に手を出すと、周りにも迷惑をかける。(自分で)使用しないし、注意喚起もしていきたい」と語った。

 同校生徒指導部の與那嶺真彦教諭(39)は「家庭でもスマホの使い方のルールを決めるなど、子どもたちを守るための行動を実施してほしい」と話し、社会全体で子どもたちを見守る必要性を強調した。
 (友寄開)