五輪でも「ゼロの誓い」21歳平良、豪腕勝負へ 侍ジャパン入り


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春季キャンプで汗を流す西武の平良海馬=2月、宮崎県日南市南郷町の南郷スタジアム

 まだプロ4年目の21歳。日本を代表する右腕へと急成長を遂げた平良海馬が、今度は東京五輪という国際舞台へと駆け上がった。

 高校の最高成績は県8強。連合チームでの大会出場も経験した。決して恵まれた環境ではなかったが、がっしりとした体格から打者の手元で伸びる剛速球は当時から出色で、高校2年で152キロを記録。2017年に西武からドラフト4位指名を受けた。19年に頭角を現すと、20年には日本選手6人目の160キロをマーク。同年にリーグ最多に並ぶ54試合に登板し、県勢初の新人王を受賞した。

 クイックモーションから投じる直球は「タイミングが取りづらい」と強打者からも恐れられる。プロ入り前から「直球だけで勝ち進めるほどプロは甘くない。多彩な変化球を投げ、長く活躍できる選手になりたい」と展望しており、スライダーやチェンジアップの切れ味も抜群だ。

 代表発表3日前の13日に開幕から32試合連続無失点というセ、パ両リーグ新記録を打ち立て、翌14日には33試合に更新したばかり。高校時代に指導した伊志嶺吉盛さん(67)は「本人の努力が素晴らしい。彼の投球が世界に通用するか今から楽しみ」と声を弾ませる。

 平良がプロ選手として心がけていることは「普通の人」。その言葉通り、日に日に注目度が高まる中でも「1試合1試合の積み重ねだと思う」と力みはない。

 威圧感たっぷりの堂々としたマウンドさばきに、侍ジャパンの稲葉篤紀監督も「動じない。そういう投球スタイル」と、日の丸を背負う国際舞台での快投に期待を寄せる。

 今年2月、宮崎キャンプを視察した稲葉監督が自身を候補選手に挙げた際、「選ばれたら外国人選手との対戦なので、各国の特徴を感じながら自分のピッチングをして楽しみたい」と意欲を見せていた平良。今季の際立った活躍で代表の座をつかみ「ゼロ点に抑えて帰ってこられるように頑張りたい」と闘争心を燃やす。

 国内でも小柄な173センチの剛腕が、パワーに富んだ海外勢に真っ向から勝負を挑む。


<略歴>

 たいら・かいま 右投げ左打ち。1999年11月15日生まれ、石垣市出身。173センチ、100キロ、背番号61。真喜良小―石垣中―八重山商工高出。高2の春の県大会で最速152キロをマークし、17年のドラフト会議で西武から4位指名を受け、翌年入団。19年に26試合に登板し頭角を現すと、20年には日本選手6人目の160キロをマークし、54試合に登板。県勢初の新人王を受賞した。