新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言は、全国で唯一、沖縄県のみ7月11日まで延長されることが決まった。「まん延防止等重点措置」に指定された4月12日から通算すると、県民の行動変容が求められる措置期間は約3カ月に及ぶことになる。長期間の対策で疲弊感が漂う中、県はワクチン接種の加速化に力点を置き、期限の前倒し解除につなげようと対策を強化する構えだ。
玉城デニー知事は16日の記者会見で、宣言の延長を求める期間は7月4日までの「2週間」だと説明した。だが政府は17日、県要請より1週間長い7月11日までの延長を決定。国と県で1週間の相違が出た。
県が政府に要請前に開かれた厚生労働省へ助言する専門家組織の会合で、脇田隆字座長は「最低3週間の期間を見てほしい」と述べていた。関係者によると、県は国が提示する期限を把握した上で、要請する期間を「2週間」とすることで、集中的に対策をとる姿勢を打ち出した。
一方、県の専門家会議メンバーの高山義浩医師は16日、厚労省の専門家組織会合で、過去のデータ分析から(1)渡航者の増加(2)本土の流行(3)県民の接触―の3要素がそろうと、県内で急激な感染拡大につながると指摘した。ある県幹部は「水際対策は沖縄県の努力だけでは不十分だ。夏休みで観光客が多く来て、8月にあっという間に広がる展開もありえる」と述べ、最悪のシナリオも想定する。
政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長は16日、航空会社は沖縄や北海道へ行く旅行者に対し、搭乗数日前までのPCR検査を受けることを勧めるよう提言した。さらに搭乗前検査へのインセンティブ(誘因)の必要性も提言した。
感染対策の切り札となるワクチン接種の加速や水際対策は県単独の権限や財政力では限界もあり、国との連携が不可欠だ。
(梅田正覚)