県のコンベヤー設置許可で、本部港使用料12分の1に 年額840万円安く 辺野古新基地


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ベルトコンベヤー2基で運搬船に送り込まれる土砂=5月26日、本部町の本部港塩川地区

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に関連し、埋め立て用土砂を搬出する業者に対し、沖縄県が4月以降、本部港塩川地区でのベルトコンベヤー設置を認めたことで港の月額使用料が従来の12分の1になっている。使う場所も広さも同じなのに、場所の「種別」を変えてベルトコンベヤーを設置したことで年額換算で約840万円安くなった。業者は土砂搬出作業を効率化できる一方、県に支払う使用料は低減されるちぐはぐな状態となっている。

 土砂の搬出業者は従来、ダンプトラックから土砂を直接船に積み込んでいた。4月以降は作業加速のため、ベルトコンベヤー2基を設置した。トラックから直接積み込むことも引き続き可能で、業者が取り得る選択肢は広がっている。

 もともとは県から管理権を譲り受けている本部町が「荷さばき地」として使用を許可していた。業者が同じ場所でベルトコンベヤーの設置を希望した際、県が「港湾施設用地」として許可を出すことになった。「荷さばき地」はあくまで一時的な荷物の仕分け用で、撤去が容易でない「固定物」の設置はそぐわないと考えているためだ。

 しかし県北部土木事務所によると、1千平方メートル当たり月額使用料は「荷さばき地」が25万3千円だが「港湾施設用地」は2万222円と約12分の1だ。使用範囲(約3千平方メートル)から推計すると、業者が支払う金額は約75万9千円から6万660円に安くなった。

 金額について、県は「あくまで条例で定める算定基準に基づいている」と説明した。県港湾管理条例で「荷さばき地」の使用料は場所を問わず1平方メートル1日につき「11円」(貨物搬入から15日以内は半額)。「港湾施設用地」は土地の価格に応じて料金を算出するため、周辺の地価が安ければ使用料も安くなる。

 ベルトコンベヤー設置の許可について県が現在のような運用を確定させたのは、那覇空港の滑走路増設に向けた土砂が本部港から搬出されていた時だ。当初は「荷さばき地」として扱っていたが、途中の2018年7月から「港湾施設用地」に切り替えたという。

 こうした使用料は貴重な県の収入であり、辺野古新基地建設だけでなく、金額を定める仕組みの問題だ。土砂搬出を監視している土木技師の北上田毅氏は「年額840万円分、県が損している。数年続くと膨大な額になる」と指摘した。
 (明真南斗)