「皆が過去の戦争を学び直す必要」赤嶺昇・県議会議長あいさつ(21年慰霊の日)


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沖縄全戦没者追悼式で式辞を述べる赤嶺昇県議会議長=23日、糸満市摩文仁の平和祈念公園

 23日に開催された沖縄全戦没者追悼式での赤嶺昇県議会議長のあいさつ要旨は次の通り。

 大戦を経て米軍の占領下におかれた沖縄は、本土復帰から49年が経過した今もなお、過重な基地負担を強いられている。

 周辺に住宅地が密集し、世界一危険と言われる普天間飛行場の存在、米軍人・軍属等による相次ぐ事件・事故、今年に入り各地で発生した米軍機の低空飛行訓練、今月初めにも米軍ヘリコプターの不時着事故が発生しており、県議会としても米軍基地問題に関する意見書・決議を復帰後、479件挙げている。米軍基地の整理縮小・日米地位協定の抜本的な改定に取り組むことを日米両政府に対して強く求める。

 戦争により著しく荒廃した沖縄において、戦禍の傷も癒えず物資も乏しい中、県土を開発し、産業を振興・発展させてきた先人の方々には、感謝と尊敬の念に堪えない。今ある豊かさは、戦争を体験した先人の労苦の下、築き上げられた平和の証だ。

 平和な時代に生まれ、日々の生活を営む中で、戦争により引き起こされた悲しみが過去のものとして風化していくことが危惧される。おじい、おばあから語られる機会が失われつつある今日、沖縄戦の体験やそこから学んだ教訓を伝え継ぐ難しさが問われている。

 この代えがたい経験を継承していくためには、皆が過去の戦争を学び直し、今ある平和を見つめ直す必要がある。その上で将来を担う子供たちに同じ目線になって語りかけ、共に考えることが、私たち大人の役割ではないだろうか。