アメリカから遺族へ日章旗を返還 沖縄戦中にB29の搭乗員が持ち帰る


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 太平洋戦争中に沖縄から米国に持ち帰られたとみられる日章旗が23日、遺族に返還された。福岡県の男性らが持ち主を探し、旗の寄せ書きから、豊見城市嘉数の具志堅一雄さん(72)の父榮一さん=2004年に死去、享年82=のものと判明した。日章旗は一雄さんを通じて、那覇市の県護国神社に奉納された。

具志堅榮一さんの息子・一雄さん(右から2人目)に返還された日章旗=23日、那覇市の県護国神社

 日章旗は、B29の搭乗員だった故セス・マードックさんが米国で保管しており、孫のスペンサー・ベアードさんが遺品整理中に発見した。19年に友人らを通じて福岡県の伊藤博文さん(52)に連絡があり、持ち主を探していた。

 19年11月、報道で日章旗のことを知った一雄さんが「父のものだ」と名乗り出て、持ち主が判明。伊藤さんらが今月23日、ベアードさんの手紙とともに沖縄に持参し、県護国神社の慰霊祭の後、一雄さんに手渡した。

 日章旗の寄せ書きには後に榮一さんと結婚する妻のいちさん=昨年死去、享年96=とみられる名前もあった。息子の一雄さんは「母が健在ならもっと詳しく聞けたかもしれないが、大切に保管されていたことはありがたい」と話した。