自然遺産の対策強化へ ヘイトスピーチ条例の制定にも取り組み 県議会代表質問


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 県議会6月定例会は24日から代表質問が始まり、玉城デニー知事は、7月下旬にも正式決定される見込みの、奄美・沖縄の世界自然遺産登録について「貴重な自然環境を将来に引き継ぐため持続可能な地域作りに取り組む」と述べ、外来種や密猟、交通事故などの対策を一層強化する考えを示した。花城大輔氏(沖縄・自民)への答弁。

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、防衛省有識者会議の一部の委員らが沖縄のジュゴンを「19年に絶滅」とする論文を英科学誌に投稿したことへの質疑もあった。玉城知事は20年以降の県と国の調査で、今帰仁村古宇利島などの周辺海域で食み跡が確認されていると指摘し「ジュゴンは生息している」と反論した。山里将雄氏(てぃーだ平和ネット)に答えた。

 県が制定を検討するヘイトスピーチ(憎悪表現)を規制する条例について、知事は「市町村からの意見や専門家からの助言を受けながら、制定に取り組む」と従来の議会答弁よりも踏み込んで答えた。照屋大河氏(てぃーだ平和ネット)への答弁。

 政府が18日に閣議決定した22年度の予算編成や政策の指針となる「骨太の方針」で沖縄振興が明記されたことを受け、玉城知事は「楽観視することなく、しっかりと取り組みを進めたい」と述べた。石原朝子氏(沖縄・自民)への答弁。


<新型コロナ>妊婦の感染者 県内129人

 石原朝子氏 妊婦の新型コロナの感染状況と出産の現状は。

 大城玲子保健医療部長 20日時点で妊婦の感染は129人で、感染した妊産婦には助産師などが寄り添い支援をしている。2020年の妊娠届け出件数は前年比13件(0・1%)減の1万5319件。(感染症による)出産への影響は少ない。

 山里将雄氏 広域ワクチン接種センターの予約、接種状況は。

 玉城知事 23日現在で、2カ所のセンターの30日までの予約件数は、予約枠1万3610件に対し、1万899件、予約率80.1%。そのうち3619件が接種済みとなっている。

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<教育>教員未配置 小中で6人

 花城大輔氏 教員の不足状況について。

 金城弘昌教育長 4月時点の教員の未配置は小学校1人、中学校5人の計6人。未配置の学校は教頭や他の教員が授業に影響が出ないよう対応している。

 照屋大河氏 医療的ケア児の県立高校への入学事例について。

 金城教育長 看護師等の配置を必要としない医療的ケア児がこれまでに2人入学している。

 山里将雄氏 津嘉山酒造所の修復について。

 金城教育長 元の状態を再現するため文化庁の指導の下、早期に修復できるよう調整していく。

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<基地>日米共同使用や辺野古問題議論

 花城大輔氏 米軍基地の自衛隊との共同使用は負担増になるから反対か。

 金城賢知事公室長 例えば、飛行場が共同使用となれば、周辺住民にとって航空機騒音や事故などの懸念も高まる。基地負担が増すので容認できない。

 山里将雄氏 新基地建設反対を訴えながら、埋め立てを加速する本部港塩川地区へのベルトコンベヤー設置を許可したのはなぜか。

 島袋善明土木建築部長 (利用目的を理由に)不許可にすることは港湾法の不平等取り扱い禁止に抵触する。港湾関係法令などに基づき環境を悪化させる恐れがないことなどを適正に審査して許可した。

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<経済>台湾パイン増加 県産に影響なし

 花城大輔氏 Go To トラベルに代わる国の支援策について。

 宮城嗣吉文化観光スポーツ部長 域内観光の需要喚起策を支援するため、国の支援制度が創出された。県は5月に補助金交付申請をした。制度を活用し、域内観光の需要創出に努める。

 石原朝子氏 台湾産パイナップル輸入増加による県産への影響について。

 崎原盛光農林水産部長 東京卸売市場で、沖縄産パインは昨年1~4月の取扱量は132トンで1キロ当たりの平均単価は373円だった。今年は161トン376円で、台湾産増加による大きな影響は見られない。