校則見直し、どうやればいい? 支援NPOがアドバイス「社会に出ても役立つ」


社会
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校則について対話を重ねる広島県の安田女子中学高等学校の生徒(カタリバ提供)

 学校の校則やルールに違和感や疑問を抱いた時、どのように見直せばいいのか。参考になるのは認定NPO法人カタリバ(東京)が2019年度に始めた「ルールメーカー育成プロジェクト」だ。同プロジェクトは校則を変えることが目標ではなく、見直しのプロセスを重視する。プロジェクト担当の山本晃史さんに校則を見直す際の流れを具体的に聞いた。

 見直しの第一歩は「仲間集め」だ。生徒も教員も1人だと孤立してしまう恐れがある。仲間が集まると、次に「見直したい校則・ルール探し」を始める。一気に全てを変えるのではなく、ポイントを絞ると議論しやすい。

カタリバの山本晃史さん(カタリバ提供)

 ポイントを絞った後は「意見を集める」作業に移る。中心となる生徒だけでなく、ほかの生徒や先生、保護者などに話を聞く。意見を集めた後は本格的に「対話を重ねる」。多くの意見が集まり、時には反対意見もある中、納得できる方向を探る。その後、全体に見直しを「提案」して承認を得る。

 見直して終わりではなく、重要なのは「振り返り」だ。実際にどのように運用されているのか、新たな問題が起きないのか、見直して次につなげる。

 これらのプロセスを通して重要なのは、議論の透明性。誰が何を議論しているのか明らかにすることで、議論に直接参加しない生徒や教員の理解も得る。

 山本さんが支援した広島県の私立安田女子中学高等学校は、中1~高2までの生徒約20人でプロジェクトチームを発足。生徒へのアンケートなどで意見を集め、対話を重ねた。新聞部が議論の経過を取材して知らせたり、掲示板を活用したりして議論の「見える化」を図った。同校はプロジェクトの結果、スマートフォンの持ち込み、放課後の寄り道、保護者の同伴なしにカラオケやゲームセンターなどへ行く―の三つを条件付きで解禁した。

 山本さんは「誰かが決めたことに従うのではない。意見交換し、誰もが参加できることが大事だ」と、民主主義に基づく手法の重要性を説く。そして「校則を変えた経験は社会に出ても生かせるはずだ」と、主権者意識を育むことにも期待した。
 (稲福政俊)