【識者談話】デルタ株への置き換わりは時間の問題 徳田安春・群星沖縄臨床研修センター長


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
徳田安春医師

 デルタ株の特徴として、まず感染力の強さや重症化リスクの高さが挙げられる。英科学誌ネイチャーの最新データによると、感染力は英国由来のアルファ株の1・6倍となっている。重症化リスクはさまざまな議論があるが、欧州の研究データの中には約2倍だと示すものもある。

 (デルタ株は)ワクチンの予防効果が落ちることもほぼ確実のようだが、現在日本で使われているファイザー製とモデルナ製は2回接種すれば従来株と同じ有効性があるとされる。接種を急ぐべきだろう。

 デルタ株は沖縄にどんどん入っている可能性がある。他にも感染者がいておかしくないと考えるべきだ。沖縄に入る前のPCR検査の義務化など、空港の水際対策が大事になる。

 人口密度の高い那覇市などで住民が無料で複数回検査ができる場所を設置したほうがいい。それでも英国や米国と同様、デルタ株が主流になっていくのは時間の問題だろう。

 一番懸念されるのはクラスター(感染者集団)だ。人が集まる閉鎖空間に行かざるを得ないのなら二重マスクやN95マスクを使い、施設の管理者は(換気をよくするために)二酸化炭素の濃度を計るモニターを導入したほうがいい。

 緊急事態宣言の解除は、デルタ株や都市部の状況も見て行う必要がある。東京や大阪が増えると沖縄も増えるパターンがあり、宣言を解除してまた増加に転じる可能性がある。

 ワクチン接種のペースを上げることが最も重要で、政府が目標とする1日100万回を沖縄に当てはめると、1日1万回は接種を進めるべきだ。

 (臨床疫学)