「苦しみ今も」宮森小米軍ジェット機墜落から62年 初のリモート講話


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宮森小米軍ジェット機墜落事故を振り返り、「今が本当に平和な世になっているのか考えてほしい」と呼び掛ける宮森630会の久高政治会長=24日、宜野湾市の宜野湾中学校

 【うるま・宜野湾】宮森小米軍ジェット機墜落事故から62年となる6月30日を前に、宜野湾中学校で24日、平和学習会が開かれた。

 講師に招かれた「石川・宮森630会」の久高政治会長が児童ら18人が犠牲となった戦後最大の米軍機事故を振り返り、「沖縄戦の延長にあった事件で、今も苦しみを抱えている人がいる。平和とは何かを考える機会にしてほしい」と語り掛けた。3年生のクラスでの講話を全教室に配信する同会初のリモート形式で実施した。

 事故は1959年に、嘉手納基地所属の米軍ジェット機F100が石川市の住宅地に墜落しその後、宮森小に突っ込んだ。「沖縄戦から14年がたち、未来に希望を持ちながら懸命に生きていた命が一瞬で奪われた」と久高さん。米国立公文書館から入手した、頭部に裂傷を負う児童や子の遺体を前にたたずむ父親、跡形もなく破壊された校舎の写真などを紹介しながら、事故を説明した。

 事故の数年後に後遺症で亡くなった青年や、現在も後遺症に悩まされる当事者や家族がいるとして「苦しみがまだ続いている」と強調した。広大な米軍基地を抱え、米軍機の低空飛行が日常である沖縄の現状に触れ、「この状況をどう受けとめるか考えてほしい」と話した。

 生徒を代表して3年生の長堂莉亜奈さん(14)が「戦争が終わったはずなのに米軍による被害があるのはおかしい。事故は今も起こる可能性がある。平和を大切にして次の世代につないでいきたい」と感想を述べた。

 久高会長は初のリモート講話について、「広く伝える手段として積極的に取り入れたい。今まで届けられなかった全国への発信にもつなげたい」と語った。