車が水没、土砂崩れ、電話の不通も 線状降水帯による大雨 各地の被害まとめ(30日朝)


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 積乱雲が帯状に連なる線状降水帯の影響で29日未明から午前中にかけて、本島全域や周辺離島に雷を伴う非常に激しい雨が降った。各地で土砂崩れや冠水、車両水没などの被害が相次いだ。一部地域では道路の通行止めや雷の影響とみられる停電も発生。気象庁発表で「50年に一度の記録的な大雨」となった粟国村は役場の電話が不通になるなどのトラブルに見舞われた。各地域とも人的被害は確認されていない。

■北部 金武、冠水で車水没

大雨の影響で車道の一部をふさぐ土砂=29日午前10時20分ごろ、本部町伊野波

 本島北部では、大雨の影響で土砂崩れや道路の冠水などが相次いだ。沿岸部では赤土が流出し海が赤く染まった。人身被害は確認されていない。

 宜野座村惣慶では民家の床下浸水が1件あった。金武町金武区で午前5時ごろ、冠水した町道で車両1台が水没した。運転手は自力で脱出し無事だった。

 名護市大東では大雨の影響で路面が割れて通行止めとなった。

 近くの飲食店では29日午前、店内の浸水被害が確認され、スタッフが復旧作業に当たった。

 北部土木事務所によると、東村有銘の県道14号で午前に土砂崩れが発生し、全面通行止めになった。30日午前に安全状況を確認し、通行止めを解除するか判断する見通し。

 本部町でも土砂崩れが起きて、一部が付近の道路になだれ込んだ。

■中部 2カ所で土砂崩れ

斜面の土砂が草木と共に崩れ、ふさがれた道路=29日午前9時50分、うるま市与那城屋慶名の藪地島(ジャン松元撮影)

 本島中部では29日、土砂崩れが3件あった。床上浸水と床下浸水が各1件、交通規制が1件あった。いずれもけが人はいない。

 沖縄市消防本部によると同市比屋根の県道85号沿いの高さ5メートル、幅約60メートルの斜面が崩れ、土砂が7~8メートル下の歩道をふさいだ。午後0時12分に近隣住民から通報があった。

 うるま市によると同市与那城桃原と藪地島で土砂崩れが各1件あった。藪地島は一時、道路が閉鎖された。同市立高江洲中学校は土砂災害の恐れがあるとして臨時休校した。宜野湾市の市道宜野湾11号が午前8時半過ぎに数十センチ冠水、同9時過ぎに解消した。北中城村のあやかりの杜付近の村道が午前9時から一部通行止めとなった。倒木や、斜面が崩壊する恐れがあるため。村は安全が確保され次第、交通規制を解除する。

■南部・離島 粟国で電話不通も

断続的に降る雨の影響で側溝から噴出する雨水=29日午後2時40分、八重瀬町富盛

 那覇市消防局によると、那覇市具志の具志宮城南公園に面した崖の土砂が高さ約10メートル、幅6~7メートルにわたって崩れた。崖の下にあった墓が半分以上、土砂に覆われた。現場正面のマンションに住む20代女性は「公園で子どもが遊んでいるので危険がないようにしてほしい」と話した。

 浦添市消防本部によると、同市城間のマンションに隣接する高さ3メートル、幅4メートルの石垣が崩れているのが確認された。

 糸満市潮平の県道82号では長さ約250メートル、深さ約80センチにわたって冠水し、午前8時半~同11時ごろまで全面通行止めとなった。

 気象庁が「50年に一度の記録的な大雨」が降ったと発表した粟国村では、村役場の電話回線が不通になるなどの被害があった。村に住む50代女性は「数え切れないほど雷が鳴っていた。一部地域では停電して、電化製品が故障した家もある」と語った。島尻消防本部によると南城市では床下浸水が1件あり、八重瀬町では冠水による車両の水没が1件あった。