クラスター会見中止「沖縄県の指示」 県立中部病院が説明 県側は否定


この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子

 うるま市の県立中部病院で5月末から6月中旬にかけて院内で起きたクラスター(感染者集団)について、玉城和光院長らは7月1日に同病院で会見を開いた。玉城院長は6月11日に会見しようとしたものの、県病院事業局の指示で取りやめになったとの認識を説明し、医療機関としての説明責任を挙げて「公表するべきだった」と述べた。一方、県病院事業総務課の中矢代真美医療企画監は報道陣に「会見をやめさせる意図はなく、コミュニケーションに齟齬(そご)があった」と会見中止の指示を否定した。

 玉城院長によると、5月末にクラスターの発生を確認後、県に会見を打診したが、6月1日に県病院事業局から会見は時期尚早という連絡があったという。その後、同7日に同局から同意を得て、病院は11日にオンライン会見することを決めた。しかし、県から前日10日、会見を取りやめるように連絡があったという。

 7月1日の病院の会見後、中矢代氏は報道陣の質問に対して、クラスターと判断できないため6月1日の会見の見送りを指示したと答えた。オンライン会見を巡るやりとりでは、専門家の意見を基に「公表する基準がない」と病院側に説明したが、会見中止を指示していないという。

 その後、県は公表の基準を策定する手続きをしておらず、結果的に中部病院は7月1日まで会見する機会を得られなかった。県は2日、県立病院長会議を開き、公表基準について協議する。

 病院は5月24日に入院患者の陽性を確認した後、6月17日までに患者36人、職員15人の計51人の感染を確認した。6月30日の県議会で、県は死者数16人と答弁したが、翌1日の病院会見で玉城院長は報告にタイムラグがあったとして、死者数は17人とした。新型コロナによるクラスターの死者数では県内最多だった。現在は収束している。