慰霊のひな人形、思いつなぐ 南城・百名小 沖縄戦体験、故日比野さん寄贈


この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子
百名小の図書館前に飾られている、故日比野勝廣さんが制作したひな人形と児童ら=6月22日、南城市玉城の百名小学校

沖縄戦で日本兵として南城市玉城糸数の「アブチラガマ」で約3カ月過ごし、戦後は人形職人だった故・日比野勝廣さん=愛知県、享年85=が寄贈した「6月のひな人形」が南城市立百名小学校に飾られている。沖縄戦で九死に一生を得た日比野さんは、ガマで食事などの世話をした玉城の人々に感謝を伝えようと、1980年、旧玉城村の玉城、百名、船越の3幼稚園にひな人形を寄贈していた。百名と船越の2幼稚園は2010年に玉城幼稚園に統合されたことで、小学校がひな人形を管理しているという。

仲村保校長は5月ごろ、同校の読み聞かせサークル「トライアングル」からひな人形の存在を聞いた。当時の新聞記事などからひな人形が寄贈された背景を知り、6月23日の「慰霊の日」を前に「6月のひな人形」として飾った。

当初、児童らは「3月のひな人形がなんで6月に飾られているんだろう」と不思議そうに見ていたという。展示に合わせて同校は「アブチラガマ」が題材の絵本の読み聞かせや、校長講話など実施した。児童会の城間麻央さん(11)=6年生=は「戦争の話を聞いて人形には平和への思いが込められていることを知り、ひな人形の印象が変わった」と話した。