写真家の勇崎哲史さん死去 71歳 写真集「大神島・記憶の家族」など発刊


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写真家の勇崎哲史さん

 沖縄の日本復帰前後から県内各地を撮影し、大神島(宮古島市)の家族をテーマにした写真集などを発刊した写真家の勇崎哲史(ゆうざき・てつし)さんが1日午前10時57分、肺がんのため宜野湾市の病院で死去した。71歳。北海道札幌市出身。自宅は那覇市。告別式は行わない。

 東京綜合写真専門学校在学中から卒業後にかけての1971~73年、宮古島を中心に沖縄のほぼ全域を訪れた。84年、北海道東川町に「写真の町構想」を提案し94年から「写真甲子園」を考案し実施した。2007年、那覇市に移住し光画文化研究所を開設し、プロ写真家から学生まで幅広い受講生を指導した。主な著作に写真集「大神島・記憶の家族」「思考方法としての写真」などがある。

 勇崎さんに師事してきた写真家の石川竜一さん(36)は「大きな支えが無くなった寂しさがある」と声を落とす。「基本や歴史的なことも教えてもらった。常に地位や名誉、権力を避け、子どものような純粋な気持ちで写真が好きな人に公平に向き合った」と存在の大きさを語った。

 勇崎さんは長年、写真家の故・平敷兼七さんと親交を深めた。浦添市城間で平敷兼七ギャラリーを営み、平敷さんと勇崎さんの二人展も開催した平敷さんの次女・七海さん(46)は「(受講生の)それぞれが持つ力を引き出すのがうまい。写真を愛していた人だった」と別れを惜しんだ。