371カ所…選挙ポスター掲示場の位置情報オープンデータ化 わずか20分で完成させた26歳のウェブエンジニア


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 7月11日投開票の那覇市議選に向け、ウェブエンジニアの大田小波さん(26)=沖縄市=は3日までに、那覇市内の選挙ポスター掲示場全371カ所の位置情報などをオープンデータ化し、インターネット上で無料公開した。立候補予定者らから好評で、SNSでも話題になった。ポスター貼りの煩雑な作業を効率化し、市議選立候補のハードルを下げて「機会の平等につながればいい」と期待する。

那覇市議選のポスター掲示場の位置情報などをオープンデータ化した大田小波さん=6月29日、那覇市役所前の市議選ポスター掲示場

 「ポスター貼りが大変。なんとかならないかな」。大田さんは那覇市議選の立候補予定者をサポートする友人からこんな相談を受けた。選挙ポスターの貼り付けは立候補の届け出後に一斉に行われるもので、多くの有権者の目に届くようにスピード感が求められる。貼り付けの代行業者もあるほどで、資金力や組織力が問われる。

 台湾のデジタル担当相オードリー・タンさんに憧れ、あらゆる個性、多様な意見が政治に反映されることを望む。新人や組織の後ろ盾がなくても、誰でも使いやすいようにポスター掲示場のデータを提供することを考えた。

大田小波さんが公開したデータを使って那覇市議選のポスター掲示場をグーグルマップに示したページ「那覇市選挙ポスターOPEN DATA化作戦」

 掲示場の場所は那覇市が公開している「なはMAP!」で見ることができるが、各陣営が利用しやすいように自由に作りかえることはできない。そこで大田さんは「なはMAP!」からデータを抽出し、あらゆるアプリケーションで使える「CVSファイル」に変換し6月26日に公開した。

 データはグーグルマップなどで利用可能になった。グーグルマップを使えば対象を指定した色分けや目的地への経路設定などが容易になり、作業の効率化が期待される。早速、SNSなどでホームページへのリンクを公開すると、超党派の立候補予定者から「ありがとうございます」「助かる」とコメントが寄せられた。

 大田さんは選挙ポスターの貼り付けについて「自分たちで貼るとは知らなかった」という。一方、作業に要した時間はわずか20分。デジタル技術で民主主義の実現を後押しできることも分かった。「よりよい沖縄のためになればいい」。沖縄を思い、自分の個性を生かしている。 

 

>>大田さんが作成した「那覇市選挙ポスターOPEN DATA化作戦」はこちらから

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