ベンチの活気、バットに宿る 宮古工・総実の與那覇、大会第1号3ラン<高校野球2021>


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宮古―宮古工業・宮古総実 9回裏、ベンチで打者を鼓舞する宮古工業・宮古総実連合チームの選手たち=3日、アトムホームスタジアム宜野湾(大城直也撮影)

 第103回全国高校野球選手権大会沖縄大会が3日、沖縄市のコザしんきんスタジアムなどで開幕した。

 宮古勢同士の対決となったアトムホームスタジアム宜野湾での第1試合。自力で勝る宮古が五回に先制し、徐々に点差を広げていく。しかし、メンバー12人の宮古工・宮古総実ベンチから飛ぶ掛け声は終盤になっても衰えない。「ツーアウトから!」「ナイスボール!」。全員で生み出した活気が、粘りを生む。

 6点を追う八回裏の攻撃。低めの直球を強振した3番與那覇颯太(宮古工2年)の打球は、快音を残してホームから122メートルのバックスクリーン左横へ。大会第1号となる3点本塁打で詰め寄った。「誰かミスをしてもチームとして声を出せた」と勢いをバットに宿した。

9回途中まで投げて11奪三振の好投を見せた宮古先発の新里勇人

 守りでも諦めない姿勢を貫く。左翼手の池間叶夢主将(宮古総実3年)は九回2死一、二塁で左前打を好返球し、走者を本塁で刺した。「最後の場面で思い切り投げられた。団結力を生かして戦った」と、初戦敗退にも満足そう。宮古には友人もいる。「自分たちは島内でしか練習試合ができない。ここまできたのは宮古のおかげ。自分たちの思いも乗せ、勝ち上がってほしい」。島の“仲間”に最後の夏を託した。

 (長嶺真輝)