体験施設ニライカナイ 修学旅行減で影響深刻 20年度、コロナ前1割以下 「県は対策を」


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来県する修学旅行生の激減で自社ビルの売却を進めているニライカナイの加蘭明宏代表=2日、恩納村

 新型コロナウイルスの影響が続く中、県内への修学旅行の延期や中止の動きが出ているため、修学旅行生を受け入れる事業者への影響が深刻化している。修学旅行向けの体験プログラムを提供するニライカナイ(恩納村)は8月にも、事務所兼体験館の「まえだ体験館」を売却し、事務所を同村内の「やまだ体験広場」に移転させる。

 ニライカナイの修学旅行生の受け入れ人数は2020年3月から激減しており、本年度内の回復も見通せないという。コロナ発生前の19年度は316校の3万8335人を受け入れたが、20年度は前年度の1割以下の水準(21校3777人)に落ち込んだ。20年度の純損益は810万円の赤字に転落した。

 同社の加蘭明宏代表によると、本年度は約400校の体験予約が入ってきたが、既に約100校が中止・延期した。「直近の動きを見ると、実施間際の1カ月前の取り消しが多い。5日前のキャンセルもあった。9月以降の予約が入っているが、夏休みなどを経て感染が再び拡大すれば実施も難しくなる」と深刻な実態を語る。

 新型コロナの収束が見通せない中で、所有施設の売却など自己資産の整理にも着手している。加蘭代表は「運営資金を補塡(ほてん)するため、昨年8月に個人と会社の生命保険を解約した。今年1月から自身の報酬も3分の1に減給している。大変厳しい窮状が続いている」と訴える。

 県内への修学旅行がコロナ前に回復するのが難しく、「修学旅行にこだわってはいけない。今後業態を変えるしかない」と述べる。その上で「PCR検査付きの修学旅行もあり得る。ぜひ県にしっかり対策を講じてほしい」と、安全安心な修学旅行の受け入れに向けて行政の対策を求めた。 (呉俐君)