琉球新報社 
多数意見は、国はサンゴの移植を前提に埋め立て承認を受けたのだから、玉城デニー知事が移植を許可しないのは違法だとしている。形式的に見れば、そのような結論は一応、成立する。
これに対して反対意見は、軟弱地盤の存在等により、国は設計変更の許可を受けなければ工事を完成できないという事態が生じており、そうなればサンゴの移植は無意味になるのだから、知事が移植を許可しないことは違法ではないとしている。反対意見の方が実質的な考慮をしており、はるかに説得力がある。
本件では仲井真弘多元知事による埋め立て承認の効果が尾を引いているが、玉城知事が埋め立ての設計変更を不許可とすれば、その後は玉城知事の裁量権の行使が正面から争点となる。よって、設計変更を不許可とした後の法的措置が、辺野古埋め立てをいったん止める上で極めて重要である。
今後の展開を考えると、これまでの最高裁判決のように、辺野古埋め立てありきではなく、県の主張に配慮した反対意見が示されたことは、県にとって強い追い風になるのではないか。
（行政法）
