豊見城南の女子部員、元気に「いくよ!」 監督の計らいで試合前ノック<高校野球2021>


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試合前のグラウンドでシートノックをする豊見城南の大谷寿音=6日、沖縄市のコザしんきんスタジアム(大城直也撮影)

 6日の全国高校野球選手権沖縄大会1回戦、豊見城南―小禄。試合前のシートノックで誰よりも輝く笑顔とはつらつとした明るい声を響かせていたのは、豊見城南高野球部でただ1人の女子部員、大谷寿音(2年)。規定で選手登録はできないが、大城浩二監督の計らいで試合前のシートノックを担った。「何もかも全部楽しかった」。スコアラーとして初めてベンチにも入り、奮闘する仲間たちを最後まで見守った。

 野球は一つ下の弟の影響で小学5年から始めた。当初は両親の反対もあったが、「1年間頼み込んだ」熱意で説得。小中学生のころは軟式野球チーム、沖縄ガールズで活動した。

 高校に入って男子に混じって練習するようになってもうまくなりたい一心で練習に没頭。負けず嫌いな性格もあってか、「体力も実力も違うけど、自分ももっと頑張ろうって大声出して張り切ってる」

 大城監督は大谷を「一番一生懸命な選手」と語る。試合の出場機会がない大谷のためノッカーを依頼した。6日の試合、大谷はユニホームに袖を通し「いくよ!」と声を張り上げ、グラウンドに勢い良く飛び出した。試合中はベンチから声援を送り、仲間たちを鼓舞した。

 チームは大会初戦で敗れたが、「負けちゃったけど、みんな頑張ってて全部が楽しかった」。目元から、野球への愛がにじみ出ていた。
 (上江洲真梨子)