基地従業員への制裁は無効 「根拠なく不当」12人の請求認める 那覇地裁


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
判決言い渡し後に、那覇地裁前で「勝訴」の紙を掲げる原告ら=7日、那覇市樋川

 米軍基地内で働く日本人従業員12人が、根拠となる事実がないのに出勤停止処分など不当な制裁を受けたとして、雇用主の国を相手に処分無効の確認などを求めた訴訟の判決で、那覇地裁は7日、12人の制裁を無効とし、処分で減らされた給与と賞与の減額分の支払いを命じた。

 原告のうち嘉手納基地の従業員11人は、基地内で発生したエアコン部品の窃盗事件に関わったとして7日間の出勤停止を受けていた。山口和宏裁判長は判決理由で、11人が窃盗に関わったとした同僚らの供述は信用できないと指摘。盗みに関与したと認められる証拠はないとし「制裁を課すための事実の基礎を欠く」と判示した。

 キャンプ瑞慶覧で働いていた石川修治さん(45)=宜野湾市=は、米国人の部下が帰ろうとしたのを制止しようとしたことが、秩序を乱す行為として3日間の出勤停止となった。山口裁判長は「多少の身体的接触があったとしても、部下の理由のない帰宅を阻止するため、やむを得ない行為だった」とした。

 判決によると2017年、嘉手納基地で米軍の備品のエアコンが持ち出され売却される事案が発覚。憲兵隊の取り調べに11人は関与を否定したが、19年に出勤停止を受けた。

 沖縄防衛局は本紙の取材に「国の主張について裁判所の理解が得られなかったと受け止めている。判決内容を慎重に検討し、関係機関と十分調整の上、適切に対応していく」と述べた。