前原、終盤に勝機 「おばぁのために」仲村渠がダメ押し打<高校野球2021>


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 第103回全国高校野球選手権沖縄大会第5日は8日、名護市のタピックスタジアム名護など2球場で2回戦6試合が行われ、第1シードの具志川商が嘉手納に8―0で零封勝ちした。宮古は第4シードの美里工に8―7でサヨナラ勝ち、前原が与勝に4―1、名護が宜野湾に8―5、知念は西原に11―2、沖縄工が美来工科に6―2で勝ち進んだ。


 

与勝―前原 8回表、2死二塁から暴投とボークで決勝点の本塁を踏んだ前原の臨時代走・仲村渠隆己(左)=8日、タピックスタジアム名護(高辻浩之撮影)

 「骨折で入院しているおばぁに見せたかった」。最終回、2死二、三塁で巡ってきた打席。前原の8番・仲村渠隆己は、甘く入った内角直球の初球をたたき付けた。三遊間を抜けた鋭い打球は、4点目の適時打に。試合後、ミートした瞬間の両手の感触を思い起こし、「タイミングはばっちりだった」と満面の笑みを浮かべた。

 奮起の源は、骨折で入院している祖母だった。大会前にもらった手紙をお守り変わりに、「わくわくさせるプレーで(感謝の思いを)返したかった」。八回には左翼前への安打を放った上原望生の臨時代走を務め、勝ち越しの生還を果たすなど思い通りの活躍を見せ誰より勝利を喜んだ。

 投げては、2人の2年生投手が躍動した。先発の横田琉空と七回から登板の上原の粘投が実り、主導権を渡すことなく勝機を引き寄せた。東亮監督は「3年生が(打線を)引っ張る中で、投手陣も活躍し良いチームにまとまっている」と、確かな手応えをにじませる。

 春の大会で負傷し、復帰開けの登板となった上原は「最小限の球数で、テンポ良い投球を意識しとっても満足いく内容だった」。次戦以降の先発登板への意欲も示し、「もっと長い回も投げられる」と自信をのぞかせた。 (上江洲真梨子)