PFAS汚染の範囲拡大か 全国最大値超えも うるま市で米軍の汚染水流出


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有機フッ素化合物を含む汚染水が流出した米陸軍貯油施設(奥)からつながる排水路=6月14日、うるま市昆布

 【うるま】米陸軍貯油施設(うるま市)の汚染水流出事故で、琉球新報が採取し京都大学の原田浩二准教授(環境衛生学)が分析した水と土壌からは、今回の流出以前にも汚染があったことをうかがわせる有機フッ素化合物(PFAS)の値が検出された。また、流出現場から約2・5キロ下流にある湧き水シリガーの水は低かった一方、その近くのウキンガーの土壌は高濃度の蓄積があった。PFAS汚染が広範囲に広がる一端も垣間見えた。

 ウキンガーの土壌はPFOSが1キログラム当たり846・3ナノグラムで、PFOAが同144・2ナノグラムだった。PFOSの値は、環境省の全国底質調査で示された最大値・同460ナノグラムを大幅に超えた。PFOAの値は、全国最大値の同190ナノグラムより低かった。

 シリガーの水はPFOSが1リットル当たり6・0ナノグラムで、PFOAは同5・1ナノグラム。国の暫定指針値(同50ナノグラム)を下回った。

 また今回の調査では、規制が進むPFOSやPFOA以外のPFAS物質も検出された。原田准教授は「人体に蓄積することが分かっているPFHxSやその他の物質も検出され、PFOSやPFOAに限らずPFASの影響を考える必要がある」と強調した。


使用実態の公表を 原田浩二京大准教授

 調査結果は、これまで汚染が分かってきた米軍嘉手納基地や普天間飛行場だけではなく、うるま市の米陸軍貯油施設でもPFASが使用され、周辺に汚染が生じていることを示した。施設の敷地内に汚染水が染み込んでいる可能性もあり、周辺は結構な汚染が進んでいるのではないか。

 流出現場に近い排水路の土壌が高い値だったのは、過去にもPFASが流れていることを示している。なぜこういう値になっているのか。米軍の施設内でのPFASの使用履歴の情報も必要だ。今回流出のあった施設内のタンクファームは別にもあり、それらも含めて使用実態がどうなっていたのか。米軍は明らかにしないといけない。

 また、PFOSやPFOA以外のPFAS物質の検出もあり、暫定指針値だけではない汚染状況の把握が必要だ。一方、うるま市周辺のPFAS調査は情報が少ない。国や県といった関係機関は、さらに周辺地域を調べる必要があるだろう。

 (環境衛生学)


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