2004年7月に性同一性障害特例法が施行されてから17年となりました。民間の関連団体がまとめたデータによると、この間に戸籍の性別変更をした人は年々増加し、19年までの累計で9625人となっています。
国内で性別変更するためには現状、(1)2人以上の医師により、性同一性障害であることが診断されている(2)20歳以上であること(3)現に婚姻をしていない(4)現に未成年の子がいない(5)生殖腺がない、または生殖腺の機能を永続的に欠く状態にある(6)他の性別の性器の部分に近似する外観を備えている―の六つの要件のいずれにも該当していることが性別変更審判の前提です。
(5)(6)の要件を満たすためには「手術」が必要な場合があり、費用や身体的精神的負担軽減の観点から要件の緩和を求める動きが近年高まっています。
16年には、超党派の国会議員連盟(LGBT議連)が「手術要件」の撤廃を含む特例法改正の検討を始めました。
19年1月、不妊手術を必須と定める法律の違憲性を問う訴えに対し、最高裁は「現時点では合憲」と判断するも、補足意見として「手術なしでも性別変更を認める国が増えている状況を踏まえ、憲法違反の疑いが生じていることは否定できない」としています。
また、20年、日本学術会議が「性同一性障害特例法」の廃止と「性別記載変更法」の制定を提言、今後の検討課題となっています。
LGBTへの関心が高まっているなか、誰もが人として生きやすい環境整備が進んでほしいものです。
(沖縄銀行融資部上席調査役 宮里聡)