沖縄・奄美の世界自然遺産登録に向け推薦各地を結んで意見交換をした、琉球新報と南日本新聞(鹿児島県)の共同企画シンポジウム「奄美・琉球世界自然遺産へ~魅力と未来を語る」では、それぞれの地域ならではの実情や活動が報告された。
沖縄島北部の比嘉明男氏(NPO法人やんばる・地域活性サポートセンター理事長)は、地元・国頭村安田区で子どもたちが、自然のシンボルとしてヤンバルクイナの世話をする活動を重ねたことを紹介。「子どもの活動で大人の意識が変わった」と述べ、取り組みを進めるために地域の理解を深めることの大切さを強調した。
西表島の徳岡春美氏(西表島エコツーリズム協会事務局長)は、島内で環境に過剰な負荷をかけるオーバーツーリズムへの対応が進められていることに触れ「地域には登録に否定的な意見もあった。登録を誇りに自然を守り、次世代につなげられるようにしたい」と語った。
奄美大島の常田守氏(自然写真家)は「以前、島は開発一辺倒で『自然保護』というと変な目で見られた」と振り返る。世界自然遺産登録を機に「島民が自然保護に興味を持つようになり、学校の講演にも呼ばれるようになった」と、地元への波及効果を語った。
徳之島の美延睦美氏(NPO法人徳之島虹の会事務局長)は、自然遺産登録が勧告された5月以降、一人で百個ものわなを設置してクワガタムシを密猟する人が、島外から数多く訪れているとし「登録されれば『知らなかった』では済まされない。みんなで大切さを発信して宝を守っていきたい」と訴えた。
シンポジウムの録画動画は琉球新報のユーチューブチャンネルから視聴できる。