那覇市議選の選挙戦最終日となった10日朝。那覇市の泊高橋のガードレール沿いに、保守系中立候補5人ののぼりがたなびく中、自民党への復党を目指す下地幹郎衆院議員=無所属=はマイクを握り、訴えた。「保守合同に賛成するこの5人の仲間をしっかり当選させることが、保守合同の流れが必要だということを示す証になる」
目前に迫った衆院選沖縄1区へ出馬予定の国場幸之助氏=自民=と、下地氏の「代理戦争」の様相を呈した市議選。支援する5人の候補者の当選をてこに、進展のない復党議論を進ませようとした下地氏だが、当選者は3人にとどまり、もくろみは不発に終わった格好だ。
このまま復党問題が決着しなかった場合、1区は「オール沖縄」の立場で連勝する赤嶺政賢氏=共産=と、国場氏、下地氏の三つどもえになる。来年の県知事選も見据えて保守一本化を求める声が大きい中、両者のさやあては続く。
自民党県連内の下地氏への不信感や警戒感は根強い。下地氏の復党を後押しするため5千人近くの入党届を党本部に提出するなど、経済界有志の動きを受けても、議論は進まず停滞したままだ。
下地氏側は現状打開のため、経済界有志と関わりのある市議選の保守系候補に対し、選挙応援との引き替えに復党への協力を求めるなどして自身の陣営を確立し、選挙戦を展開した。
一方の県連は、10人ほどに人数を絞るべきだとの意見もあったが13人を擁立。「国場氏が下地氏への対抗から多くの候補者を出したのではないか」(関係者)との見方も出るほどで、勢力拡大に向け力を注いだ。
結果として自民は躍進。ある県連幹部は3議席を獲得した下地氏側の結果に「善戦した方ではないか」と余裕の表情を浮かべつつ、「自民候補とは別の候補者を支援したのは反党行為。復党が認められるわけがない」と強調する。
下地氏に近い関係者も「自民があれだけ伸ばした中では、(復党議論の)とっかかりにはなりにくい」と目算が狂ったことを認める。だが、「市議選の結果がそのまま国政選挙に結び付くと考えるなら大きな間違いだ」と、下地氏を「過小評価」しないようけん制した。関係者らによると、国場氏は保守分裂の三つどもえの戦いも辞さない考えを示している。ある県連関係者は「知事選も考えると分裂は避けるべきだ」と先行きを懸念し、「保守が大同団結を果たせる形で収まってほしい」と願った。 (大嶺雅俊)