尖閣中国船「国際法違反」 「台湾情勢の安定」初記述


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防衛省

 【東京】防衛省は13日、2021年版防衛白書を公表した。石垣市の尖閣諸島について領海内を航行する中国海警船の活動を「国際法違反」だと明記した。4月の日米首脳会談の声明を踏襲し、台湾情勢の安定が「わが国の安全保障にとってはもとより、国際社会の安定にとっても重要」だと白書に初めて記述するなど、中国に対する警戒感を鮮明にした。台湾を巡っては、中国が「6年以内」に侵攻する可能性があるとしたデービッドソン前米インド太平洋軍司令官の米議会公聴会での発言も盛り込んだ。

 岸信夫防衛相は同日の会見で「わが国自身の防衛力の強化や自らが果たし得る役割の拡大、わが国と基本的価値を共有する国々との緊密な連携が不可欠」だと強調。尖閣諸島や中台情勢をにらみ、南西諸島の防衛力を強化する重要性を強くにじませた。

 在沖米軍の意義として「インド太平洋地域の平和と安定に大きく寄与している」と表記した。「アジア太平洋地域の平和―」としていた前年版から地域表現を改めた。政府の「自由で開かれたインド太平洋」構想を反映し、在沖米軍の「対中国包囲網」との位置付けを強めた形だ。

 巻頭言で岸防衛相は「強権をもって秩序を変えようとする者があれば断固としてこれに反対していかなければならない」として、中国を念頭に強い抵抗感を示した。

 一方、名護市辺野古の新基地建設に関しては、今年4月に辺野古崎南側の埋め立て区域全域で海面からの高さが3・1メートルに達し、「陸地化が完了」したことを盛り込んだ。「引き続き、埋め立て工事を着実に進める」とし、移設を進める考えを強調した。