琉球新報社 第103回全国高校野球選手権沖縄大会第11日は14日、コザしんきんスタジアムなど2球場で準々決勝4試合を行い4強が出そろった。豊見城が第2シードの興南を5―3で下し33年ぶり9度目、昨秋の県大会王者・沖縄尚学は小禄に9―2で勝ち2年ぶり26度目の準決勝進出を決めた。準決勝は17日、沖縄セルラースタジアム那覇で行われ、第1試合（午前10時開始）が知念―中部商、第2試合は豊見城―沖縄尚学がぶつかる。決勝は18日午後1時から同スタジアムで行う。
◆沖尚 後間が好投
昨秋投手陣の主力を担い、チームの優勝をけん引した立役者が、夏の大会の初登板にも気後れせず試合をつくった。沖縄尚学の右腕・後間翔瑚は7回を投げ6奪三振1四球と安定し、6安打を許しながらも自責点1に抑える好投を見せた。
昨秋以来の先発マウンドに立ち、初回こそ「いっぱいいっぱいになって力んでしまい、思うような投球ができなかった」。1点を与えたが、内野陣からの「打たせていけ」との応援を背に、次第に感覚を取り戻していく。
中盤からは、外角いっぱいのスライダーや内角への直球と、コースを広く使った投球が決まり始める。打線の援護をもらうと「（投球の）テンポを早めにして、打者のタイミングをずらした」。変化球で打たせて取る理想の投球がはまり始め、一、三回以外は三塁を踏ませなかった。
打っては、打順で1番を任される。この日は1安打2打点とバットでも結果を残し、試合後に晴れやかな表情を浮かべた。
攻撃の口火を切るリードオフマンとして、勝利を引き寄せる投手として大車輪の活躍を見せて「自分が試合を決める、という気持ちで最後まで楽しめた」。自信を力に変え、準決勝に挑む。
（上江洲真梨子）
◆強気の打撃貫く 小禄
小禄は、沖縄尚学の先発投手の不安定な立ち上がりに食らいついた。初回に3番・喜舎場康太の中前適時打で先制点を挙げ勢いづくかと思われた。しかし直後の二回表に連打を浴び3点を失った。
劣勢に転じたが、チームを引っ張る神里泰成主将は「強気の打撃」を貫いた。三回2死三塁で神里が甘く入った変化球を左中間に運び、1点を奪った。神里はこの日2安打1打点と結果を残した。終盤は、相手のテンポ良い投球に「打ち急いでしまった」とリズムを崩されたことを悔やむ。
試合後、目を赤く染め仲間や保護者に感謝を伝えた神里。「来年の夏、ベスト4以上を超えるチームをつくってくれ」と後輩へバトンを託した。そして、仲間とのひとときを惜しんだ。
◆豊見城 継投が奏功
迫る球数制限を継投で乗り切った豊見城の垣花琉陽は、九回のマウンドに上がり最後の打者を中飛に打ち取った。ぐっと拳を握って静かにほほえむエースに駆け寄りねぎらうナイン。垣花は連投の疲れを振り払い、シード校を破って4強入りする大きな勝利に声を上げて喜び合った。
1週間で500球の球数制限。10日の2回戦から1人で投げ抜いてきた垣花は3回戦の沖縄水産を挟み、興南との準々決勝で制限に達する見通しだった。
制限まで残り50球を切り七回から継投策に出る。2死から右翼の山城瑠唯にスイッチ。八回も同様の継投で興南打線を封じる。九回は垣花が1人で投げ、2安打を許すもぴしゃりと締めた。
昨年の秋季大会でサヨナラ負けを喫した相手。「あの一戦で全員が成長できた。今度は絶対倒そうとモチベーションになった」と垣花。疲れが残るこの日も、今大会に向けて増やした球種ツーシームが興南打者のバットの芯を外し、要所で抑え込むことに成功した。
安室涼主将は「明るく前向きにをテーマにやってきた。チームの雰囲気は一度も落ちていない」と、準決勝もチーム一丸で楽しむ野球で突き進む。 （謝花史哲）
◆リズムが乱れる 興南
主力3投手をそろえ、継投を強みにしてきた興南が崩れた。先発の大山北斗が五回まで1失点で踏ん張っていたが、六回以降に登板した投手の四死球が失点につながり、乱れたリズムを最後まで引きずってしまった。
1―1の五回に犠打、適時打、犠飛と理想的な形で勝ち越し点を挙げ、勢いに乗りかけたところだった。継投策に出た六回に連続死球で満塁にしてしまい、犠飛で1点を奪われる。七回も四死球で走者がたまり、失策も飛び出す悪循環に陥った。
我喜屋優監督は「全て私の采配ミスだ」と反省を口にし、宮城琉人主将は「これまで投手に支えられてきた。打者陣で負けたと思う」と悔しがった。
沖縄尚学
０３０２２０１１│９
１０１０００００│２
小 禄
（八回コールド）（沖）後間、當山―前盛
（小）照屋、日賀―親泊
▽本塁打 下地（沖）＝大会第１３号
▽三塁打 仲宗根皐（沖）
▽二塁打 仲宗根皐、知念大（以上沖）、垣花、神里（以上小）
豊見城
０１０００１２１０│５
０１００２００００│３
興 南
（豊）垣花、山城、垣花、山城、垣花―比嘉海
（興）大山北、上地、大山北、山城、生盛―山川、盛島
▽三塁打 安室（豊）
▽二塁打 山形（興）
