サンゴと褐虫藻共生の瞬間を初観察 白化のメカニズム解明も期待 OISTと高知大


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サンゴの細胞が褐虫藻を取り込む瞬間(高知大学川村和夫名誉教授、関田諭子准教授提供)

 沖縄科学技術大学院大学(OIST)と高知大学の研究チームは、造礁サンゴの細胞が褐虫藻(かっちゅうそう)を取り込む瞬間を世界で初めて観察した。研究チームは「サンゴの白化のメカニズム解明につながる」と期待している。OISTの佐藤矩行(のりゆき)教授は「培養したサンゴの細胞が褐虫藻を取り込むと思わなかった。これを機に、さまざまなサンゴと褐虫藻の共生関係の情報を集めたい」と話した。

 褐虫藻はサンゴと共生する藻類で、光合成して生み出した栄養をサンゴに提供している。共生する褐虫藻がサンゴからいなくなると白化する。これまでサンゴが褐虫藻を取り込み、共生することが分かっていたが、どう取り込むのかは明らかになっていなかった。

サンゴの培養細胞が褐虫藻を取り込み、共生するまでの過程(OIST提供)

 研究チームは、沖縄などに生息するウスエダミドリイシサンゴを培養した細胞を使って、褐虫藻を取り込む瞬間を観察した。高知大学の川村和夫名誉教授は「普通ではありえないと思った。細胞を取り込む瞬間を見るのは、震える感じだった」と振り返った。

 研究成果をまとめた論文は14日、科学誌「Frontiers in Marine Science」に掲載された。